Magazin&Champion-D-

□三ヶ月
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夏休みも、もう数日で終わる夏の日に
初めて御幸が試合に負けたところを見た。





他にも負けた日はあったのかもしれないけれど
特に御幸と連絡を取り合うわけでもないから いつが試合だとか、ましてや勝率なんて知る由もない。

毎日練習を観に行っていたわけでもないし
試合のたびに応援に行っていたわけでもなく

心から応援していた、なんてとても言えはしないけど。


それでも、

ただ なんとなく
御幸が試合に負けることは想像していなかった。



だからかもしれない、
翌日もグラウンドへ足を運んだのは。

結局、いつも通りに練習をしている御幸の姿を見て
10分も経たずにグラウンドを後にしたけれど。


そんな らしくないことをした理由を考えながら迎えた新学期は、



まだどうしようもなく暑い。







「久しぶり、」



お昼になり、人が動き出す教室で
相変わらずスコアブックを片手に座っている御幸に声をかければ
御幸は何故か不思議そうに眉を動かした。



「…。そーでもなくね?」

「…?」

「見に来てたろ、練習。週1くらいか?」

「…知ってたの」

「そりゃあお前、目立つし。ウチには目敏いの多いからなー、俺が見つけなくても誰かしらが来てたぞって教えてくんの」

「そう」

「…日曜も来てたしな。何?やっぱ俺のこと好きになってきた?」

「……そうかもね」

「……」



自分の口から出てきた言葉と、珍しく驚いた顔をした御幸を見て
あぁ、そうなのか。とどこか他人事のように気付く。


スコアブックの読み方を調べてみたり
試合の後わざわざメールしてみたり

なんだかんだ、練習を眺めに行って
らしくないアドバイスをしようとしたのも
心配に、なったのも





全部、御幸が 気になっていたせいかも しれないと





「お前ってほんと、正直だよな」





それに気付けば
明るくなるような、暗くなるような

茹だるような暑さも相まって
なんともいえない気分になった











今さらそんな事に気付いてどうするんだろう。なんて、また他人事のように思う。







→10.四ヶ月半





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