Magazin&Champion-D-

□不愛想に
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「好きです、御幸くん」






呼び出された瞬間から何か様子がおかしいとは思ったけど

今まで受けてきた中で、









こんなにやる気のない告白をされたのは初めてだ。









「えーっと…みょうじ、さんだよな?」

「そう」




みょうじのことは知っている。
所謂『学年一の美人』ってやつだ。


そんなやつが今、俺に告白している。




いかにも、アンタに興味ありませんって顔で。




いくら後ろから見えないからってその顔はどうなんだ?
嘘でももうちょいやる気見せてくれるもんじゃねーの?普通はさ、
と思いつつ笑いそうになるのを堪えている俺。


そんな俺を、答えあぐねている様にでも見えたのか
みょうじの後ろに着いて来ていた見覚えのある女子達がくすくすと小さく笑った。

後ろに居る女子達のそぶりは いかにもで。
みょうじのためについて来た、みたいなこと言ってたけど…
俺の目ってそんなに節穴だと思われてんの?冗談キツいぜ。

普段はそういうのが面倒で、部活を言い訳に断るんだけど。

さて どうしたもんかね。と考えているとみょうじは後ろの子達に見えないよう
カーディガンのポケットから、1枚の紙を出して俺に見せた。


その内容に俺は、分かったとでもいうように笑って見せて、答える。




「じゃあ、付き合うか。俺達」

「……、」



みょうじの差し出した紙にはたった一言『断って』の文字


それに対して出した俺の告白への答えはYes.



後ろの女の子達はみょうじが断られるのを見て楽しみたかったんだろうけど、
そんな思い通りの展開つまんねーだろ?

まぁ、並の男がみょうじに告白されたんじゃ、嘘でも落ちるだろうから俺を選んだんだろうけど
こんなお膳立てされたんじゃ、断るのももったいねぇし?



なにより言われるがままNo.なんて断る性格してねーんだわ、俺。



「……」

「はっはっは!照れてる?意外と可愛いとこもあるんだな」

「……そんな風に見えるの?」



勿論彼女の言う通り。
俺を見る彼女は照れているどころか、何言ってんだコイツ。くらいの形相だ。
この顔で振り向いたらバレるな。



「まあまあ、任せとけって」


そう小声で呟いてみょうじとの距離を詰めた。
みょうじが動かないよう肩に手を置いて、見据えるのは後ろの女子達。



「ってことだから、他の女の子達にも伝えて欲しいんだけど…コイツに別れろとか嫌がらせとかすんのはなしで。って。まあ、君らは応援してくれてたみたいだし、大丈夫だと思うんだけど。ほら、たまに居るだろ?」



おろおろし始める女子達にわざとらしく話しかける。
我ながらとんだ茶番だ。



「まあ、心配しすぎだとは思うんだけどさ」

「でも、一也くん前は部活忙しいからって…」

「まあな。そっちが優先なのは変わんねーし…合わなきゃそれまでってことで」



ってなくらいの希望を見せとけば…少なくともしばらくは大人しくしてるだろ?と。
予想通り、そこで大人しく去っていく女子達を見送って
こんな感じでどう?とみょうじに声をかけた。




「…御幸くん、ちゃんと読んだの?紙」

「勿論、読みましたとも」

「……」



俺の答えに対してみょうじは無言だったが、
じゃあ馬鹿なの?とでも言わんばかりの顔をしていて思わず笑ってしまう。すぐ顔に出るのな。



「…しかも今の…何あの茶番、意味あるの」

「あるさ。俺の言うことだぜ?効果は絶大ってね」

「ああ、そう」

「はっはっは!絶対信じてねーだろ」

「…それより本当に付き合う気なの」

「あそこまで言わせといてそこ聞くか?普通」

「……」



みょうじは不審気に俺を見た後、仕方ないかという顔をしてため息をひとつ。
これ、俺が告白されたはずだよな?一応。



「ま、暫くよろしくな」



俺がそう笑って言えば、

みょうじは告白の一言と同じように、極めて













想に



「…こちらこそよろしく」と生真面目に返してきたのが面白くて俺は笑った。








→02.一週間






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