American lemonade-D-

□Carol
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『陸なら、大丈夫だよ』







いつものセナなら
その後に『きっと…』とか『たぶん…』 って言うのに
その時は、なぜか何も言わなくて



だから平気、とは 言えなかったけど



それでも

きっと りっくんは本当に大丈夫なんだって、思えた。



セナは嘘ついたり、誤魔化したりするの 苦手だから。







「よ、」







だから、連絡がなくても
りっくんなら大丈夫って、ちゃんと 分かってたはずなのに



「…約束したからな。会いに来た、このりに」

「……っ」



そう言ってりっくんに名前を呼ばれたら、声も出なくって

代わりに溢れそうになる涙を、隠せるわけもないのに 両手で抑えるように



前髪をくしゃりと握る。





「…よかった…っ、」




分かってても、不安で
信じてても、落ち着かなくて

どうすればいいか分からない気持ちを誤魔化しては
考えた、

泣かないで居ようって 決めてたことも
自分から会いに行こうと思ってたことも

少し困ったように頬笑むりっくんを見たら

変わらなきゃ、と思ってた気持ちさえ
どこかへいってしまって


とにかく、無事で良かったって…ただそれだけが震えた声で音になれば





ゆっくりと 抱きしめられる





「…」

「……なっさけないな、俺は」

「、」

「…泣かせてばっかりだ」





その言葉に、りっくんの肩口でゆるゆると首を横に振る。

私が泣いてしまったら こうなるって
気にさせてしまうって、分かってたから

泣かないでって決めてたのに。





「折角このりが応援してくれたってのに、勝つって約束も守れてない」





りっくんには、いつもみたいに 優しく笑っていてほしいから


だから
私が頑張って

変わろうって、決めたのに。





「ごめんな、このり」





…このままじゃ、やっぱりだめだよ。





「…りっくんはいつも、私との約束 守ってくれてるよ」

「……」



そう言っても、離してくれそうにない腕に

私が何を言っても
りっくんが気にするのは、きっと変わらないんだろうなって思う。

それでも、今までと同じ…守ってもらうばかりじゃ、甘えてばかりじゃだめだって思うから、



意味はないかもしれなくても、ちゃんと言わなきゃ。

だって、





私が、『ここ』に居たいんだから、





そう、思って 自分の手を強く握る。



「私…セナが、モン太くんやヒル魔先輩達とクリスマスボウルを目指すみたいに…りっくんにも好きな人達と笑って、アメフト、してて欲しくて…」

「……」

「もし怪我しちゃっても、それが叶うとしたら、それはきっと勝った時なんじゃないかなって 思って…それで…」



私にはまだ
色々足りなくて、



「…上手く…説明できてない…と思うんだけど、えっと…だから…」



今はまだ、何ひとつ上手にできないけど



「まだ、ずっと、」



少しずつ、頑張るから

今は、



「りっくんがまた遠くに行っちゃっても、何を頑張ってても、絶対、ずっと、りっくんのこと応援してるから」

「このり…」



「ぜったい、約束だから」









想いだけは



ちゃんと 伝わりますように。



Carol-キャロル-
【この思いを君に捧げる】







American lemonade





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