Gerade-D-
□なーんか
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入部した時は、全然気つかんかった。
引っ越しでゴタついてて入部したんは1年生レースの直前やったから、ゆっくりセンパイらと挨拶しとる暇あれへんかったし
ゴールの後声かけてくれとった気ぃもするけど…必死やったから正直全然覚えとらん。
せやから、こん時や。
初めて心さんを意識したんは。
朝練終わる頃に遅れて来たセンパイが着とった 赤いカーディガンが目について、思わず声かけたんが、きっかけや。
「それ、着てんの!めっちゃええ色っスね!!センパイも赤好きなんスか!?」
「!うん、すき!」
初めてまともに絡んだけど…
ふわーっちゅーか、へにゃーっちゅーか…なんかそういう笑い方する人で とりあえず、めっちゃええ人っぽい。
しかも赤好きとか、気ぃも合いそうや。
胸もまぁ普通にあるし可愛い系て言うことないやん!とは思っても流石に初対面に近い状態では言わんけど!と話を合わせる。
「やっぱ赤はええっスよねー!」
「鳴子くんは髪、赤だもんね!」
「男は黙って赤!派手に目立ってナンボやでセンパイ!!」
そう言うて、こっちはビシッとキメとんのに、センパイはなんや不満そうな顔しとる。
なんでや。別にワイ変なこと言うてへんよなー
「…先輩って呼び方…なんかやだ…」
「なんやそこすか!そない言われてもワイ、名前教えてもろてへんですよ」
「あれ」
「あれ、て。センパイさてはボケすか」
それか天然いうやつか?
あー、なんかメッチャそれっぽいなー…なんて、そんな話もしてへんのに妙な納得しとったら改めて挨拶してくれよる。
「心です!」
「ワイは鳴子章吉です!よろしゅうにー…って、名字は?」
「じゃあ章ちゃんって呼んでい?」
「、」
普段のワイやったら、ワイの質問は無視かい!ってツッコむとこやったんやけど
『章ちゃん』て呼ばれたら、こっちきてまだそんな経ってへんのに なんか大阪思い出して出てこんかった。
むこうでは、ようそうやって呼ばれとったから
「…名前で呼ぶのだめだった?その方が仲良しになれるかなって思ったんだけど…」
「いや、ええっスよそれで!ちゅーか仲良して、気ぃ早いっスね!」
「だって章ちゃんと居ると賑やかで楽しそう!」
「カッカッカ!任せとって下さい!盛り上げるんはめっちゃ得意なんで!」
呼ばれんのが、ちょい懐かしいような、嬉しいような
「じゃあ、よろしくね!章ちゃん!」
「ワイの方こそよろしゅうに、心さん!」
なーんか
くすぐったーて、心地ええ感じがした。
→番外編1.この人の相手は