American lemonade-D-

□Mary Pickford
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関東大会準決勝、王城ホワイトナイツとの試合

雨が降り続く中、
ムサシ先輩のキックで先制点を入れて 喜んだのもつかの間、
光速の巨大弓-バリスタ-と進先輩の完璧なプレーに

ヒル魔先輩が暗号でまもりお姉ちゃんに何かを指示して
それに驚きつつもテープを持って走っていくまもりお姉ちゃんを

渡されたビデオを片手に、私はただ見送っただけ



進先輩に倒されたセナが「悔しくて」と涙を流すのをただ見守っただけ





20分のハーフタイムの間
後半へ向けて思い思いに時間を使う皆を見て、







私って、何ができるんだろう。







そう、思っただけ。





ハーフタイムが終わって同点に追いついても離されて
また追いついても、また離されて…試合終了まで、



残った時間はたったの1秒。



雪光先輩に代わってフィールドに戻ろうとするセナに
アイシールドのついたヘルメットを差し出したのは、鈴音ちゃんだった。



「ありがと鈴…音…?」

「言わないで、分かってるから。盛り上げ隊長のクセにちょっち震えてやんのって、分かってるから」

「……」

「…西部戦で やっぱり今みたく最後にキックオフ勝負になって…負けちゃった。もう二度とみんなであんなの悲しすぎるから…!私は…応援しかできなくて!セナ、絶対、絶対…!!」



「…大丈夫、勝ってくるよ。鈴音」



そう言ってフィールドに戻っていくセナを少し遠くから、鈴音ちゃん越しに見送る。

すっかり男の人になったね。
今の、りっくんに負けないくらいかっこよかったよ、セナ。

でもそれはきっと、声をかけたのが私でもまもりお姉ちゃんでもなくて
鈴音ちゃんだったからだって、私は思う。



いいなぁ、って思っちゃったの。

二人を見て



同じ場所に立って、すぐ傍で 大切な人を応援できるって



いいなぁ、って…そう思ったの。
私にはいつも、背中しか見えないから





私は、まだ何もできなくって
待ってるだけしかできないけど、


ただ、その背中を見つめて

振り向いてくれるのを待つんじゃなくって







か私も



隣に並んで応援できる私になれたらいいなって、そう 思うの。



Mary Pickford-メアリー・ピックフォード-
【羨望】







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