Long Story

□母の手掛かり
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「私は自らを式神にしたが、月日が流れるにつれ力も衰え、呪術も弱まった
残ったのは波動を操る力と、培った知識のみ
そこで、私の力を受け継ぐ者を創ったのだ」



『それが‥‥私?』



真実なのだろうか?


狼欄の話を聞いていると迷いが生じる


柔らかな口調は、親の愛情の様なものさえ感じさせる


洗脳なのか、真実の愛情なのか区別がつかない





「颯妃、私は自分の力を受け継ぐ者の為だけにお前を創った訳ではない
この波動の力を使い、今の桃源郷を救って欲しいのだ」



『――どう‥いう意味?』



「今、異変が起こっている理由は化学と妖術の融合のせいだ
禁忌とされた力が働いている」



『つまり、妖怪の暴走は誰かが糸を引いてる…そういう事?』



「左様。その為に三蔵一行は旅をしているのだ
颯妃‥お前は三蔵達に力を貸し、この異変を止めるのだ」








言ってる事は正しい
理屈も分かるし、筋も通ってはいる

だが、今までの行動とあまりにも矛盾が生じる



自分は…異変を止める為に創られたのだろうか?


狼欄は異変が起こるのを知っていて、自分の力を残す為に自分自身を式神にし、更に私を創った?



あまりに飛躍しすぎた話に頭の中が混乱し、整理が出来ない



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