Long Story

□彼女の正体
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もしかしたら、彼女は人に飢えていたのかもしれない
八戒はそんな印象を受けた




「あのぅ…」



間の抜けた声が会話を遮る



『なに?』



「初めに会った時より、その‥雰囲気が変わりましたね」



『そう、かしら?』



「はい、とても
何か良いことでもあったんですか?」



爽やかスマイルだが、目の奥では颯妃を探っていた



『イイコト‥ねぇ
これから有るのかも』



颯妃も笑い、八戒の探りを難なくかわしてゆく


簡単には尻尾を出さない様だ


八戒が苦笑する









「……なら、昨日の事を話すのは幾らだ?」



三仏神への目通りは日を改める事にし、ずっと疑問だった事を聞くことにした三蔵



『昨日の事?
別にそんなのでお金なんて取らないけど』



「へ〜、守銭奴の颯妃チャンらしからぬ発言じゃん?」



からかい口調で悟浄が口を挟むと、颯妃は少しだけ笑った


やはり寂しそうな笑顔だった



「なら答えろ。昨日、俺達全員を眠らせた方法を」



『差し入れの桃饅頭…』


「答えろ」



紫暗の瞳が鋭く煌めく



『…薬を』



「散布した形跡もなかったですしね」



八戒の視線も容赦なく突き刺さる







『――‥っ、………超音波よ』



「超音波?」



思わず全員が聞き返した



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