Long Story

□母の手掛かり
1ページ/9ページ





『三仏神は、貴方を人間でも妖怪でもないと言ったわ
貴方は一体何者?』



「ほぅ…無能だと思っていたが、三仏神も気付いたか
――‥私は式神だ」



三仏神の予測通りだ


だが、式神は術者が使役するもの

狼欄の様に意思を持ち、勝手に動く式神などいるのだろうか?



第一、私が狼欄の娘なら、式神の子供という事になる

そんな話、聞いたことがない



「驚くのも無理はない
この術を使ったのは過去に1人だけだ」



『――術?』



「私は生きている時、高等な呪術師だった
そして、誰にも使えないとされる、波動を操る術を身に付けた唯一の人間でもあった」



『生きている‥時』



つまり、目の前の呪術師だった男は死んでいて、式神として生き返った?



「私は敵も多かった
年齢には勝てず、油断もあり‥刺客に殺された
その時、絶命寸前に自分で自分を式神としたのだ」



『そんな‥こと』



「可能なのだよ
過去に一人、自分に触媒を埋め込み自らを式にした妖怪がいた……百眼魔王の息子だ
もっとも、もう破壊されたがな」



聞いたことはある


百眼魔王の息子は生きていて、復讐の為にある妖怪を捜している‥と



だが、自らを式神にしたというのは初耳だ



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ