Long Story

□残酷な選択
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悪夢の夜が明け、空が白み始める



「颯妃、まだ起きねぇの?」



交代で颯妃の傍についていたが、未だに目を覚ます気配がない

規則正しい呼吸を繰り返している事に安心はしているが、睫毛に縁取られた瞳は開かないのだ



三蔵が法衣を正し、外出の支度をしていた



「三蔵、どっか行くの?」



「三仏神に会いに行く。何か掴めるかもしれん」



「なら颯妃さんも連れて行きましょう。その方がすぐに対処出来ます」
























【なるほど‥目を覚まさないと】



眠る颯妃に目を向け、注意深く眺める



【三蔵よ、狼欄を封じた形代をここに】



桐の箱に封じた形代を差し出す
それを見た三仏神の顔が微かに曇った



【この形代に、狼欄は封じられていませんね】



「なっ……」



やり方は間違ってなかった
手ごたえもあった

なら、狼欄はどこへ



【おそらくは颯妃の中にいるのでしょう】


【形代に引き込まれない様 颯妃の深層に潜り込んだ為、颯妃が目を覚まさないのだ】



「なら‥颯妃は?颯妃はどうなるんだよ!?」



悟空の悲痛な叫びが響いた




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