Long Story
□生い立ち‥そして
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【そうか‥己と向き合う事にしたのだな】
再び三仏神の元を訪ねた颯妃と三蔵
『はい。…例え私の正体が分からなくとも、狼欄とはもう一度会わなくてはならない』
「ヤツの行為を悔い改めさせる為にか」
三蔵が訊く
『ううん……自分にケジメを着けたいの
狼欄と決別しないと、私は先に進めない気がするから』
親代わりだった
自分の正体が何であれ、今まで育ててくれたのは狼欄なのだ
どんな目的があったのか
何の為に育てていたのか
答えを聞けなくてもいい
自分の気持ちにケリをつける
その為には、狼欄と対峙しなければならない
【一つ分かった事があります
おそらく狼欄は人間でも妖怪でもないでしょう
生命を感じないのです】
『死霊‥とでも言うのですか?』
【可能性は否定出来ません
もしくは何者かの式神……いずれにせよ、油断召されぬ様】
『分かりました』
ふと、狼欄の言葉を思い出す
《お前はもう一度会いに来る》
奇しくもその通りになってしまった
三仏神に会釈をし、三蔵と颯妃は部屋を出た
もう、すっかり日が暮れていた