私が新年に関口氏と共に京極堂を訪れた時の話だ。


関「えっと…明けましておめでとう、ございます。今年も宜しく…」


京「君ねぇ、挨拶くらいきちんと言えないのかい。
あぁ、どうも。どうぞお座り下さい。妻が居ないので大したお持て成しはできませんが」

関「…僕、出涸らしでも構わないけど…」

京「君に云ってるんじゃあないよ。」


関(なにも…そんな睨まなくたっていいじゃないか…)


京「この男と一緒に来たんですか?それは大変でしたね。
彼は、人とのコミュニケーションが苦手ですから。その癖に人の話をちぃとも真剣に聞きはしない。
全く、世話の焼ける嫌な知人なんですよ」


関(…また知人か。何でこんなに意地が悪いんだ)


京「…ほら、また彼方に行きかけている。
どうも関口君は気が抜けているなぁ。
来る時何か話しました?…そうですか。
いや、それに関しては彼は無知ですよ。
どうせ中途半端に聞きかじってカストリにでも書こうとしたんですよ。

……あぁ、マズイ。荒れた神が来てしまった」




榎「そうだ!僕だ!!」


関「え、榎さん?」

榎「おや関君、袴だね。
わははは!似合わないなぁ」

関「…ほっといて下さいよ」

榎「お?むくれた。むくれたぞ!ますます猿だ!うはははは!猿猿猿猿!」


関「やっ、突っつかないで下さい!」

榎「さる猿サル猿さる猿サル猿さる猿さる!」

関「ひぃっやだってふぁ!」

榎「変な声だな。この人が驚いてるじゃないか」


京「それはいきなり入ってきたアンタの奇行に驚いているんだよ。
もう関口君を離してやったらどうですか?
鬱になったら僕が…いや違う、雪絵さんが迷惑するんですから

何より煩い」

榎「くふぅん。関君、迷惑になるそうだよ。君は鬱になるかい?」

関「…いや、ならないよ」


京「で?アンタは何しに来たんだ?」

榎「酒盛りだ」

関「さかもりですか?」

榎「そうだ!此処を新年の酒盛り会場とする!!」



京「勝手に決めないでくれよ。」

榎「此処以外に酒盛り会場として相応しい場所があるかい?いいや無い!!
それに後一時間くらいで修ちゃんが来る」

京「旦那が来るんですか」

榎「あぁ絶対来る。関君を呼んだと云ったからからな!」

関「何で僕が居ると絶対なんですか?…あ、この前持っていった小鉢返すのにかなぁ」

京「……(溜息)どうするんだ。千鶴子は居ないんだ、後で怒られるじゃあないか…」

関(京極堂も千鶴さんに怒られるのか…強いなぁ千鶴さん)

榎「ところでそこの餅米さん」

関「ぜ、全然違うよ榎さん…」

榎「ん?門松さんだったかな?とにかく!君も参加だからな」

京「…あぁ、アンタは何時も突然だ。嫌なら断ったっていいんですよ」

関「す、すまないね…こんな事になってしまって…僕が京極堂に行こうって言わなければ…」

京「関口君、ぐだぐだ悩む暇があるのなら用意を手伝ってくれないか」

関「うぅ、…あ。その前に電話借りていいかい?雪絵に連絡しないと…」

京「あぁ、構わないよ。
…全く新年早々、慌ただしい事だな」


榎「ツマミは何でもいいからな」

京「………何も無いよ」



 髪をクシャクシャ掻く京極堂主人をチラリと見て、どうしたものかな。と少し考える。

 傍に居た猫が小さく啼いたのがやけに響いた。




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明けましておめでとうございます。

の気持ちを込めて初のフリー小説を作ってみました。ちょっと夢小説意識してみたり、見事失敗してみたり…ご自由に御持ち帰り下さいませ。

煮て焼いて食って下さい。

廃棄時には分別にご協力下さいね(笑)


   愛を込めて 殯。


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