小説

□護りたい人
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「京介ー遊ぼー」


葉が少佐の袖を引っ張りねだる

少佐はいいよと言って葉を持ち上げる

それを見ていた紅葉や他の子供たちがずるいといって少佐に抱き着く

俺はそれを見て俺も少佐のそばに行きたい、そう思ったがその気持ちを抑えた


俺はもう13才だ


葉達みたいに子供じゃないんだ


「司郎、みんなで鬼ごっこをやるんだけど君もどうだい?」


少佐に声をかけられ心臓がうるさいぐらい鳴り出した

思わずやるといいかけて俺は口を閉じた

別に鬼ごっこがしたいわけじゃない

ただ、少佐に誘われたからだ

だからこんなに反応するのだ

俺はべつにいいと言って部屋を出た

葉たちが後ろで何か言っていたが耳に入らなかった





自室に戻って勉強をやった

しばらくして、あと数枚で今日のノルマが終わる

少し休憩してから続きをやろう

そう思って俺は鉛筆を置いた

「やっと終わったのかい?」

後ろから声がした

振り返って見るとそこには口に人差し指を当てた少佐がいた


「ちょっと匿ってくれないかな?」

「別にいいけど…すぐに見つかるけど?」


子供の中に透視能力者や接触感応能力者もいる

まさか子供たちに全力で…いや、少佐なら痕跡も残してもないだろう

大人げない人だから

俺の考えていることが分かったのか少佐は笑いながらいった


「その時はまた逃げたらいいさ」


話しを聞くと少佐は瞬間移動を使わないのが約束らしい

だが、さっき使わなかったか?と言ったら少佐は笑ってこう言った


「ノックしたんだけど返事がなかったから勝手に入ったんだよ」


勉強に夢中になりすぎだよ

と、少佐は俺の頭を撫でた

また、俺の事を子供扱いする

でもその手の感触が嬉しくて

ずっと続けばいいのにとも思っただが…


「京介みっけ!って、あー司郎ずるいー!あたしも少佐に撫でて欲しい!」


瞬間移動で中に入ってきた紅葉が叫んだ

少佐は鬼ごっこ中だからだーめ、といって部屋から出ようとしたが紅葉は瞬間移動能力者だ

すぐに反応し少佐の前に移動した


「はい、京介が鬼ね」


そう言う紅葉だが、逃げたりせず、少佐の腕の中にいる

撫でてと言わんばかりに少佐に擦り寄る

少佐は仕方がない子だなといって紅葉の頭を撫でている

俺はなんだか面白くなくて視線をノートに戻す

そうだ、勉強の続きをやらないと

俺が勉強を再開したと同時に後ろから二人の声が聞こえた

「じゃ、そろそろ始めようか?」

「うん」

そう言って、紅葉は瞬間移動でこの部屋を出たと思う

「司郎は本当勉強が好きなんだね」


振り返ると少佐は微笑を浮かべていた


「早く紅葉たちを追いかけたら?鬼ごっこしてるんだろ」


「司郎もたまにはみんなと遊ぼうよ」


少佐はニコニコとした顔を変えずに言った
俺は…


「まだ途中だから…いい」

「そっか、わかったよ」


そういって少佐はドアノブに手をかけた
最後にこっちを見た


「じゃあ、それを終わらせたら一緒に遊ぼうね」


と、そう言い残して少佐は出て行った

どうやら少佐は俺の言葉をそうとらえたらしい

いや、本当はわかっているんだ

わざとああ言ったんだ

ああ言えば俺はその中に入るとわかってて…

あの人にとって俺はまだまだ子供なんだから

早く早く大人になりたい

少佐を守れるように強くなりたい


鉛筆を持つ手に力が入った


俺は……少佐を護りたい
























貴方の苦しみや哀しみ…すべて俺が受け止めたい
貴方には笑顔が1番似合うから

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