間奏〜幻想小咄〜

□考察は何刻だって空耳から始まるものさ…
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その少年、名をイドルフリート・エーレンベルクといった。
彼には秘密の友達がいた。

「やあ、イド!」

森の中の古井戸。
そこに棲むナマズの精。

ヒトならざる存在との交流は、神に背を向ける行為──偶像崇拝──と見なされ...やがて村に起きた疫病の咎を、少年は負わされることになる。

追っ手を掛けられた少年。
母の泣く声。
咄嗟に飛び込んだ古井戸。

しかし彼は奇跡的に助かった。
それはあのヒトならざる友、ナマズの精イドが、彼を助けてくれたから。
命を救ってくれたせめてもの礼にと、少年はイドを河へと放した。













成長し航海士となった青年イドルフリートは、海路の中確かに見た。

「海 に ナ マ ズ が い る !」

幼き日の命の恩人、あの井戸の主の姿を──


──鈴木は何時の日か第7の地平線でッ!?


(H22.6.4.)

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