間奏〜幻想小咄〜
□雷を制す者…
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「気に入ったぞ、レオンティウス。」
自分を負かした雷神域の王子に、北の蛮族の女王は宣言した。
「いずれお前は私のものになるのだ。忘れるな!」
黒髪をなびかせ去るその後ろ姿を、じっと見つめるレオンティウス。
暫くそうしていた彼だったが、不意にはっとしたように呟いた。
「アレクサンドラ……“アレクサンダー”の女性形名……そうか!そういうことだったのか!!」
「殿下?」
傍らに控える忠臣たちを顧みて、レオンティウスは告げた。
天啓のごとく脳裏に浮かんだ、その閃きを。
「我々は重大な勘違いをしていたのだ!《雷を制すもの》即ちアルカディア第一王子をオトす者──アレクサンドラ女王こそが世界を統べる王だったんだよ!!」
「「「な、なんだってー!?」」」
「待てえぇいそれでいいのかレオンティウスぅっ!?」
風に虚しく運び去られるそのツッコミ──蠍の叫びに、女神の応えは無かった。
(H21.9.5.)