物語り
□十五夜
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『おっかえりなさぁ〜い!岩城さん!!』
『うわっ!びっくりしたぁ!!もう少し静かに出迎えられないのか!?』
『ムーっ!待ってたんだもん♪ね、ね、見て見て♪…と、その前に☆』
『ただいま、香藤。』
『よく出来ました♪』
『バ〜カ。何言ってんだ。で?何かあったのか?』
『こっちこっち♪和室に来て♪じゃ〜ん☆お月見セット〜☆』
『…?あ!十五夜か!』
『うん!今日だよ♪スタジオにあったススキ貰って来たんだ♪で、帰りにこのウサギのお饅頭買ってきたんだ♪』
『あぁ…。忘れてたな。それにしてもお前はこういったイベント事は忘れないなぁ〜。ハハハ』
『勿論♪どんなイベント事だって岩城さんと二人で過ごすって事が俺にとっては何より大切なんだもん☆
あ、まず着替えておいでよ♪
その間に俺ちょ〜っとお酒の用意するからさ♪
ね?ちょっと位呑むでしょ?』
『もう呑むようになってるんだろ?』
『うんっ☆』
『しょうがないヤツ…。』
・・・・・・・・・・・
『あぁ。月が綺麗だな。』
『そうだね。俺には岩城さんの方が綺麗だけどね♪』
『何言ってんだか…。』
本当、綺麗だよ。
岩城さん…。
ちょっとお酒も入っちゃったから
肌もうっすら桜色になってるしね…。
『ちょっと酔っちゃった?』
『…うん…。』
『おいで。岩城さん。凭れていいよ。』
『…ん…。』
俺の肩に頭乗せて
そんな顔しちゃ襲っちゃうよ!?
いいの?岩城さん?
『ね…。岩城さん…。キスしてい?』
『ん…。香藤…。』
うっわ…!!
殺人的に色っぽいよ。岩城さん…。
月の光りのせいかな。
いつもよりずっと艶めいてるよ…。
ね?岩城さん。俺、狼男になってもいい?
今凄く岩城さんに欲情してるよ…。
『しようよ…。岩城さん…。』
『…香藤…。』
艶をたたえた岩城の瞳に映るのは美しい獣…。
いつの頃からか
すっかり逞しく綺麗に筋肉の乗った香藤の肢体…。
静かな部屋に響く互いの息遣い。
愛しくて…。愛しくて堪らない。
絡み合う互いの舌が欲情を掻き立てる。
クチュクチュと湿った淫靡な音が二人を支配している。