物語り


□皆既日食
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『ほら、香藤!見てみろ!』


『うっわ!スッゴいネ!岩城さんっ♪』


『昔の人はそりゃ驚いたろうな…。こんなに暗くなるんだから』


『そうだよねぇ、悪魔の仕業にしか思えなかったろうね』


『全くだな…』


『ま、俺にしちゃ、コレは神サマの仕業としか思えないけどね♪』


『ん?何故だ?』


今まで大人しく横に居た香藤が
いつものポジションとでも言うように後ろに回り岩城を抱き抱える。


『だって、こんな人ゴミなのに暗くなっちゃうなんて俺は俺の恥ずかしがり屋の恋人に人目を気にせずこんな事が出来ちゃうんだよ♪』


(^3^)-☆チュッ


『あ…っ、コラっ香藤…!』


『シィ〜〜っ!あと6分こうしてられるよ♪それにさ…皆上しか見てないよ♪』


いつもの様に岩城の肩に顎を乗せ頬を寄せる。


『まったく…』


『えへへ♪』


『皆既日食か…。』


『ん?』


『太陽が隠れて辺りが暗くなる…気温すら下がる…お前が居ない時の俺の気持ちと一緒だ…』


『あの…岩城さん…この状態でそ〜ゆ〜事言っちゃう訳ぇ?!もう!可愛過ぎぃ〜〜〜〜っ♪』


ギュ〜〜〜〜〜〜っ


『コ、コ、コラっ!馬鹿香藤っ!』


ゴツン


『う゛っ…隕石降って来た…悪魔の仕業だ…


.
『まったく油断も隙も無いな』


『よく言うよ…


『何!?』


『いえ、何でもありましぇん…


それでも香藤の腕に収まっている岩城。


『あっ!見て岩城さん!!ダイヤモンドリングだよ♪』


『あ…、見事だな…』


『凄いネ…♪俺から岩城さんへは…コレ♪』


『ん?』


『ダイヤモンドリングの代わり♪』


左手を取られ嵌められるハワイアンリング。


『ん?』


『この間撮影でハワイ行ったじゃん♪で、見付けたの♪』


『見付けたの…て』


『永遠の愛なんだって♪お守りらしいよ♪』


『お前は…』


『何!?無駄遣いとか言っちゃうの?』


『いや…、嬉しいよ。ありがとう香藤。』


『うふふ♪良かった♪喜んで貰えて♪ダイヤモンドリングに因んで岩城さんに似合いそうなリング探してたんだよ♪今日この時に渡そうと思ってさ♪』


『お前はいつも…俺を最優先に考えてくれてるんだな…』


『何当たり前な事言ってんの?』


『嬉しいよ…ほんとに…ありがとう、香藤』



白々と辺りが明るくなる

隠れていた太陽が顔を出す様に今、岩城の目の前に嬉しそうに綻ぶ香藤の笑顔。


『あぁ…お前はやっぱり俺の太陽だな…』



少し冷たい岩城の指先が香藤の顎を捕らえる。


この人の目は
時に言葉より情熱的に愛を語る。


俺を愛していると語るこの目に囚われた俺はただ身動き出来ずこの人からの接吻‐くちづけ‐を受ける。





辺りはもう明るい…。



俺の恋人はシャイでとっても恥ずかしがり屋さんだ。


でも
時々、とんでもなく大胆だ…。





-おわり?-
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