物語り
□饒舌な指先
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俺を知り尽くしたと言わんばかりのお前の指先。
甘い声とその指先が俺を甘美な世界へと導く。
悔しい程に俺を知り尽くしたその指先。
思いがけない声を漏らす自分に驚く。
たれ目の男が『可愛い…。』と呟く。
恥ずかしい…。
でも
この男の言葉は呪文の様に俺の心を溶かしていく。
この男の言葉だけは素直に聞ける。
その言葉を指先に乗せて俺の躰のイイトコロを的確に攻めてくる。
恥ずかしい程にこの男に溺れる。
いつの間にか逞しくなった躰にただこの身を預ける。
この男の触れる場所から熱を持ち焦がれる躰を楽しむ様な指先に翻弄されながら昇り詰める俺の躰。
俺の中で満足そうに果てるこの男が優しく労る様に俺の髪を撫でる。
大切に宝物の様に。
愛しているとこの指先が言葉より饒舌に俺に語り掛けてくる。