物語り
□ある日のふたり
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う〜ん。
岩城さん遅いなぁ〜…。
まだかなぁ〜。
番組の打ち上げなのは分かってるけど
やっぱり迎えに行けば良かったかなぁ…。
岩城の事となると途端に心配性になる香藤だが…。
ガチャガチャ…。
あっ♪帰って来た…☆
『おかえりぃ〜♪岩城さん!遅かった…ね?』
『あぁ…。ただいま…。香藤…。ふぅ〜…。』
『ありゃ!?結構酔ってる…?』
『う…ん…。ちょっと…飲み過ぎた…。』
『珍しいね…。楽しかったんだ…。』
『あぁ…。』
『ホラ…。俺につかまって。』
『すまん…。ふふふ…。』
甘えるように香藤に体を預ける岩城。
『大丈夫?座って…今水持ってくるから。』
『うん…。すまん…。ふぅ〜…。』
ネクタイを緩め体をソファに預ける岩城の姿はしどけなくどこかなまめかしい…。
『もう…。そんなになるまで呑むなんて…。フェロモン大魔王なんだから…!』
『ハハハ☆フェロモン大魔王…?』
アルコールのせいか
いつもの岩城からはちょっと想像出来ないような
ケタケタと笑う姿がそこにあった。
『もう…!まさか共演者やスタッフにもその姿見せてきたのぉ〜!?』
ほっぺを膨らませ盛大に文句を言う香藤の頬を笑いながら岩城の人差し指が突つく。
『可愛いなぁ〜♪香藤…♪ハハハ☆』
岩城さん…。
恐ろしく可愛いのは貴方だよ…。
俺の気も知らないで…。
違った意味で眩暈を起こす香藤だった…。
『ホ〜ラ。水飲める?』
『う〜…ん…。香藤ぉ〜。飲ませて…。』
香藤の肩に両手を掛けて悪戯っ子のように岩城が言う。
『はぁ…!?…しょうがないなぁ…。ほら口開けて岩城さん。』
自分の口に水を含み口移しで岩城の喉に水を流し込んでやる。
『う…ん…。もっとぉ〜…。』
ゴクゴクと喉を鳴らし水を飲み込む岩城。
口の端から零れた水に
『あっ。ちょっと待って…。岩城さん。水零れてれる…。服濡れちゃうから…。』
『ん…。香藤ぉ〜…。しよっか…?』
『…!えっ!?』
『嫌か…?ん…?』
『…。いえ…。滅相もない…!!』
香藤に跨がり岩城がニヤリと笑う。