この蒼い空の下で 参

□アブナイ人
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途中微裏表現入ります。アブノーマル方面の微裏です。






「Shit!」


湿気を多分に含んだもわりとした重苦しい不快な暑さに舌打ちをする。蒸し暑さのせいで汗が浮かび肌がベタつき着物が張り付くのも不快な気分に拍車を掛ける。普段であれば体を動かして気分転換を図るところだがこの蒸し暑さではうまくいかないだろう。


「美夜の様子でも見てくるか」


不注意からではあったが美夜は昨年の夏に倒れている。まだ夏では無いが今日のような気温では気をつけていなければ危ない。

侍女達も気をつけて見ているだろうから昨年の二の舞にはならないだろうとは思う。それでも様子を見に行くことにしたのは自身の眼で確かめたいのが七割、残りの三割は美夜で遊べば気分転換になるだろうという考えからだったりする。当然美夜には秘密だ。

活動的な美夜でもこの蒸し暑さなら動くのも億劫になって部屋にいるだろうと予想し向かう。予想通り美夜は部屋に居た。正確には部屋の前の庭に、だが。

元の世界の衣装に似せて作らせた涼しげ、と言えば聞こえは良いが手足だけでなく肩まで露出した衣服を着たまま水を張ったたらいの中で涼んでいた。


「政宗も入る? 涼しいよ」


楽しげな美夜とは裏腹に縁に控えていた楓が申し訳なさそうな顔で頭を下げた。もしかしたら最初は足だけを浸していたのかもしれない。美夜は楓の制止も聞かずに足以外まで水に浸かったのだろう。

一礼して下がる楓に気にするなと伝え、縁に腰掛け美夜が浸かるたらいに足を浸した。井戸から汲み上げた直後のものを入れたばかりだからか水はまだ冷たく、足を浸しただけでもだいぶ気持ち良い。


「やっぱり暑い時は水だよね」

「体を冷やし過ぎるなよ」

「うん。分かってる」


そう言いながらも美夜は傍らにあった手桶を引き寄せると中の水をたらいに移した。かさが増したことでさっきまでは水面に触れるくらいだった美夜の上着の裾が水に浸かった。水中で揺らめく裾を見ているうちにふいに悪戯心が沸き起こる。


「うひゃっ」


上着の裾から忍ばせた爪先を脇腹につぅっと滑らせれば思った通り驚いた美夜はビクッと体を跳ねさせた。慌てて裾を押さえようとする手の動きより早く足を動かし、今度は腹部へと悪戯する。

力は入れず、滑らかな肌を味わうようにゆっくりと足裏を滑らせる。その動きに合わせて美夜の頬も紅潮していく。両手で俺の足を押さえて止めようとするがその度にくすぐるように爪先を動かすとピクッと跳ねて手から力が抜けていく。睨んでくる眼もどことなく潤んでいて、ちょっとからかって遊ぶだけだったはずが次第に男としての欲望が頭をもたげ始めた。

ここまでにしておかなければ歯止めが効かなくなる。

そう理性は訴えていたが、足裏から伝わる滑らかで柔い肌の感触のあまりの気持ちよさにもう少し楽しみたいという欲望を抑えるのは難しかった。


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