この蒼い空の下で 参

□卯月
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「政宗大変!」


いかにも大変なことがあったかのように慌てた様子を装い政宗の部屋に駆け込んで外を指差すと、チラッとだけっ煙管を咥えた政宗の視線が外に向いた。よしよし、良い調子だ。


「外に変なものが浮いてるの!」

「そりゃ大変だな」

「ちょっと! そのテキトーな返事は信じてないでしょ! ホントに浮いてるんだからね!」


さすがにここまで言えば信じるでしょ! と思ったのにそんな様子は全く無くて、ふー、と煙りを吐き出した政宗に手招きされた。警戒しつつ近寄ると座れと政宗の正面の位置を示された。とりあえず言われるままに座ると政宗はまた一つ煙りを吐いた。


「あのなぁ美夜」

「何よ」

「何が目的か知らねぇが、お前は嘘をつくのに向いてねぇんだよ。諦めろ」

「う、嘘じゃないもん」

「だったらなんで目ぇ逸らすんだ」

「うっ・・・え、えと、そーゆー気分、だから?」


しどろもどろの言い訳にため息吐かれた。むぅーって唸ってたら頭撫でられて、なんだか子供扱いされた気分。

騙されてくれなかったことも合わさってすっごく悔しい! こうなったら何が何でも騙してやる!


「覚悟して待ってなさいよ!」


ズビシ! と指を突き付け宣言してから政宗の部屋を出て来たんだけど、騙そうとしてるのに宣言はヤバいでしょ。私、馬鹿過ぎる・・・。宣言した後の政宗の呆れた顔を見ちゃったせいで余計に落ち込むよ・・・。

トボトボ歩いてたけど、落ち込んだからって政宗を騙すのを諦める気にはならない。何てったって今日は四月一日! エイプリルフール! 嘘をつくのが許される日! この日を無駄に過ごすなんて勿体ない!

気持ちを入れ替えて政宗を騙せる新たな嘘を考えなきゃ。となればまずは・・・・・・よし、相談に行こう。政宗のことをよく知ってる人にどんな嘘なら政宗が信じやすいかのアドバイスを貰おう!

政宗のことをよく知ってる人って言ったらやっぱり最初に浮かぶのは小十郎さんだ。でも小十郎さんを探してたら先に成実さんを見つけた。一応聞いてみるか。


「成実さん。出会ったから一応聞いてみることにしたんだけどね、」

「気になる言い方だけど俺に何が聞きたいの?」

「政宗ってどんな嘘ならコロッと騙されてくれると思う?」

「美夜ちゃんが梵を騙すの?」

「そうよ」

「美夜ちゃんが?」

「そうだって言ってるじゃない。しつこいわね」

「いやー、あまりにも無謀過ぎるからさぁ」

「どこがよ!」

「だって美夜ちゃんて嘘つく気あるのか疑いたくなるくらい嘘が下手だっ・・・」

「成実さんに相談した私が馬鹿だったわ」


股間を押さえて悶絶する成実さんを置き去りにして、今度こそ小十郎さんを探す。少しして、綱元さんと一緒に居る所を発見。小十郎さんだけじゃなく綱元さんも居るなんてラッキーだわ。この二人なら成実さんと違ってちゃんと私の相談に乗ってくれそうだもん。


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