この蒼い空の下で 参

□冬
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「これ超楽しいー!」


楽しすぎてあっという間に作っておいた雪玉を投げ終えちゃった。雪山に彫った彫刻は当てた雪玉のせいでかろうじて何かが彫ってあったって分かるような状態。

これなら万が一政宗に見付かってもバレる心配は無いだろう。でもまだまだやりたりない、ってか楽しすぎてやめられないからまた雪玉を作ってぶん投げる。


「人類最強の変態セクハラ男ー!!」


日頃の鬱憤を全て雪玉に込めて思う存分スッキリするまで彫刻の政宗にぶつけた。スッキリ満足した時には息が上がってた。良い汗かいたー。これ最高! またストレス溜まったらやろうっと。雪がたくさん積もった後にしか出来ないのが残念だけど。春になったらどうやって発散しよう。

ルンルンとスキップするくらいの上機嫌で(ほんとにスキップしたら滑って転びそうだもん)部屋へと戻る。擦れ違った小十郎さんに何か良いことでもあったのかと聞かれたけど秘密でーすと返した。あのストレス発散方法は私だけの秘密だもん。


「やけに機嫌が良いな」

「ちょっとねー」


夕飯の時にも政宗に聞かれたけど当然内緒。一番バレたらいけない人だからね。深く追求されることなくご機嫌なまま夕飯を終え、お風呂に入って芯まで温まる。

ストレスもスッキリ発散したしお風呂は気持ち良いし、なんだか今日は良い夢が見れそう。

ふんふ〜んと鼻歌混じりに部屋に戻り、体が温かいうちにと早々に布団に入ろうとしたら政宗が訪ねてきた。


「こんな時間になに?」

「お前が用がある」

「ふぅん?」


わざわざこんな時間に来るってことはそれだけ重要なのかな? 何の用か聞く前に寒くないように羽織りに手を伸ばしたら政宗に少し強めに肩を押された。バランスを崩してわたわた手をばたつかせてもどうにもならなくて、バフッと布団の上に倒れ込む。

そんな私の腕を抑え付けながら政宗が覆い被さってきた。浮かべているのは不本意ながら見慣れてしまったこれぞドS! てな感じの笑みだ。なんで!?


「ま、政宗?」

「なぁ美夜、俺のどこが人類最強の変態セクハラ野郎なんだ?」

「な、なんで、それ、知って!」


さぁっ、と一気に顔から血の気が引いた。グッと顔を寄せられてもドキドキするよりも怖い。こんな凶悪なドS笑み浮かべられたら怖いに決まってる!


「あれだけデケェ声で叫んでて誰にも聞かれてねぇと本気で思ってたのか?」

「だ、だって周りに誰も居なかったし!」

「お前が気付かなかっただけだ」

「誰が居たの!? 誰が政宗にチクったの!? 成実さん!?」


真っ先に名前が出たことを知ったら酷いとか言うだろうけど、これが日頃の行いなんだよ、成実さん。


「成実じゃねぇ」

「じゃあ誰!?」

「俺だ」

「・・・・・・・・・え」

「どこかから妙な叫び声が聞こえると思ってな」


ニヤリ、と悪魔が笑った。悪魔に見えた。ううん。もしかしたら悪魔よりも怖いかもしれない。それくらい凶悪な笑顔だった。これまで見てきたドS笑みの中でも断トツの怖さ。


「直ぐにどうにかしてやろうと思ったがかなり楽しんでるようだったからな。今まで仕置きを待っててやったんだ。ありがたかく思え」

「どこがありがたいのかさっぱり分かんないわよ! 時間差でこられる方が喜んでた分ショックよ! このドS!」

「俺の優しさが分かんねぇのか? なら分からせてやらねぇとなぁ」


ニィ、と笑った政宗に顔を掴まれ口を塞がれた。そして顔を横に向けられ髪を退けられた。露わにされた耳を冷たい手で触られそれだけでぷつぷつと鳥肌が立ってくる。


「ついでに苦手なモンの克服を手伝ってやるよ」

「んむっ! んむうぅうぅぅぅ!!」


ダイレクトに腰にクる低くエロい声で囁かれ、かぷ、と耳朶を食まれた。


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