この蒼い空の下で 参

□X'mas
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―――――

「・・・・・ろ」

「ん゙ー」


ゆさゆさと肩を揺さぶられた。だけどまだ眠いし寒いしで丸くなって片手で布団を探す。誰かが呆れた声を出すのが聞こえた、次の瞬間。


「ひぎゃあっ!」


ひんやりと冷えた手で胸を鷲掴みにされた。びっくりしたのと冷たいのとで飛び起きたらなぜか政宗がいた。私の胸を、しかも直接触ってくるなんて政宗くらいしか居ないけど、なんで私の部屋に政宗が居るの? こんな暗い時間に。てか今何時?


「着替えろ。すぐに出発する」

「え? 出発? どこに?」


寝起きだし訳分かんないしで混乱してる私を置いて政宗は部屋を出て行った。入れ変わりに楓さんが入ってきて着替えを手伝ってくれた。

着替えながら気付いたんだけど、ここ、私の部屋じゃなかった。政宗が寝る時に使ってる部屋だった。昨日政宗に抱きしめられたままいつの間にか寝ちゃって、なぜかそのまま政宗と寝ちゃったみたい。

うーあー! やっちゃったよー! なんか恥ずかしいよ! 夏にもおばけが怖くて一緒に寝てもらったことあったけどその時は平気だったのになんでか今回は猛烈に恥ずかしいよ!

政宗とどんな顔して会えばいいのかわかんない。でも政宗を待たせるわけにも行かないから着替えが済むと楓さんに案内されて部屋を出た。夜明け前でまだ暗いのに、どこに行くんだろ。

馬を出して待っていた政宗の姿を見つけると思わず楓さんの後ろに隠れちゃった。だけど近寄ってきた政宗に問答無用に抱き上げられてそのまま馬に乗せられた。すぐに政宗も馬に跨がって、楓さんに見送られて城を出た。


「ね、ねぇ、どこ行くの?」


黙ったままなのも落ち着かなくて話し掛けても、着けば分かるの一言で終わってしまった。次の話題次の話題、と頭をフル回転させていたらふいに顎を取られて上向かされた。月明かりしかないのに政宗の顔がはっきり見えてドキドキしてくる。


「お前、歯軋りが煩ぇ」

「へ?」


は、歯軋り? 歯軋りって、歯を擦ってギリギリやっちゃうあの歯軋り?


「うううう嘘っ!?」

「嘘だ」

「んなっ!」

「歯軋りじゃなくて寝言だ」

「えぇっ!? 私何言ってたの!?」

「さぁな」


歯軋りよりはマシだけど、政宗がクツクツ楽しそうに笑うから余計気になっちゃう。私いったい何を喋ってたんだろ。変なこと喋ってないよね? なんか政宗に弱み握られた気分だよ。

でも、ふと気付いた。いつの間にかさっきまでの気まずさを感じなくなってた。そのことに気付いたら今度は悔しくなった。

私ばっかりあわあわして、政宗はいつも落ち着いてて大人なんだもん。一つしか違わないのに、政宗ばっかり狡い。そう思うことも子供っぽい気がして余計に悔しくなった。


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