この蒼い空の下で 参

□X'mas
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「あ、雪だ」


お風呂から出て部屋に戻る途中、空から白いものがちらちらと降ってきているのに気付いた。

どうりで冷えるはずだ。積もるかな? 十二月だし、クリスマスにも降ってくれたらホワイトクリスマスに・・・ってちょっと待って。今日って何日?

見慣れたカレンダーが無いからか、この世界に来てから日付感覚がたまに分からなくなる。こめかみに指を当ててう〜んと唸ってたら、通り掛かった侍女さんに声を掛けられた。ちょうど良いから聞いたらやっぱり今日はクリスマスイブだった。なんてこったい!


「政宗、入って良い?」

「どうした?」


急いで政宗に会いに来たら何か本を読んでたみたい。片膝を立てながらパラパラとページを繰る姿がかっこよくてドキッとしちゃったのは内緒だ。いつものようにバレてそうだけど!

本を脇に退けた政宗の正面に座る。


「ねぇ、なんか私にしてほしいことない?」

「Ah? いきなりどうした」

「今日がクリスマスだってこと忘れてたの。今からじゃプレゼントを買いに行く時間も無いしそもそもお金ないから、だから変わりにしてほしいことあったらなんでも言って」

「Christmasっつーのは確か異教の祭日だろ。なんでお前がそれを気にしてしかもPresentが絡んでくる」

「んとね、」


私の世界の日本のクリスマスがどんなものか説明した。ハロウィンをやったりクリスマスをやったり、宗教観念が無いどころか節操がねえなと言われちゃった。楽しいんだからいいじゃんねぇ?


「ンなことより、」

「ひにゃっ!」


いきなり抱き寄せられてびっくりした。恥ずかしいから離れたいのに政宗の腕の力が強くて離れられない。なんか甲斐から戻って来て以降政宗のセクハラのタイプ? 種類? がちょっと変わった気がする。

困るのは困るんだけどでもなぜかちょっと嬉しいとか思っちゃったりもして自分のことなのに訳わかんない。だけどどのみちドキドキし過ぎちゃうから結論はやっぱり困る、だ。


「体が冷えてるじゃねぇか」

「だ、だって外寒いし!」

「髪だって冷たくなってるじゃねぇか」

「洗った、からっ」


政宗の指先が頬を撫で、首筋をなぞり、濡れた髪に触れる。ドキドキし過ぎて心臓が破裂しそう。


「温まってから部屋に戻れ」

「ひにっ!」


さらにぎゅっと抱きしめられた。政宗が片手で火鉢を側に引き寄せたけど、そんなことしなくてももう体中が熱くて仕方ない。早く離れないとほんとに心臓が破裂しちゃいそう。

離れなきゃ。ていうか離して! 温まれって言ってなんで抱きしめるの!?

そう思うのに、なぜか手は政宗の腕を掴んでた。自分の体なのに心と一緒で訳分かんない。

これは、アレだ。政宗が離してくれないから仕方なくなんだ!


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