この蒼い空の下で 参

□秋
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―――――

「こじゅーろーさーん!」


畑に近付いたらすぐに叫んだ。気付いた小十郎さんが寄って来てくれたから手を伸ばしてさっさと馬から降ろしてもらう。そして小十郎さんの後ろに回って政宗に向かってべー! と舌を出す。


「テメッ」

「政宗様。美夜も止めろ」

「だってこいつずーっと私のこと虐めて遊ぶんですよ!?」

「いつものことだろう」

「そうですけど」


逃げ場の無い馬上でまでやるってのが酷いと思うのに。むぅ。


「まさかそれを言うためだけに来たのか?」

「違いますよ。猪に畑が荒らされたって聞いたからお手伝い出来ればって思ってお願いして連れて来てもらったんです」


家庭菜園だけど土弄りは手伝ったことがあると伝えたら、小十郎さんは「そうか。なら、頼んでも良いか?」と言ってくれた。

政宗はどうするのか聞いたら、先にお城に帰るらしい。そういえば、仕事は一段落しただけだって言ってたっけ。


「ごめんね。仕事の邪魔ばっかりしちゃって」

「気にするな。体を動かしたかったからついでだ。それに、こういう時に言うのは別の言葉なんじゃねぇか?」

「あ・・・えと、ありがとう」


そう言えば政宗はふっと笑んで私の頭をくしゃりと一撫でし、終わったら迎えに来てやると言って戻っていった。一々カッコイイのはどうにかなんないの? 頬が熱いじゃない。もう!


「美夜、早速だが頼んでいいか?」

「うあはい!」


頬から手を離して小十郎さんの方を向く。小十郎さんが居ること忘れちゃってたよ。うぅ。


「えーと、何をしたらいいですか?」

「食べ頃の野菜を全て収穫してあそこに置いてある籠に入れていってくれ」

「はーい」


猪に食べられる前に、ってことね。小十郎さんから鋏と鎌を受け取って畑の端まで行く。辺りにはポツポツと一部分だけ食べられた野菜が頃がってるし、踏み荒らされた畑はまだほとんどがそのままになってる。

畑のあちこちに数人の村人が見えるけど、全員でやっても全て手作業だし今は午後二時か三時くらいだろうから今日一日では終わらなさそう。でも頑張らなくちゃ。私から手伝いたいって言ったんだしね。


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