この蒼い空の下で 参
□Hallowen
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ハロウィン当日。お針子さん達にお願いして端切れで作ってもらった猫耳付きのヘアバンを付けていざ政宗のとこへ!
猫耳だけっていうしょぼさなのはたった一日だけのイベントで服まで作ってもらうのは気が引けたから。成実さんはめんどいからって何にもしていない。
「ところで美夜ちゃんは梵にどんな悪戯する予定なの?」
持ってた巾着の中を見せる。中には櫛と色とりどりの結い紐や飾り紐が入ってる。
「これ使って政宗の頭を可愛くしてあげるのよ」
「うわー、男にそれはねぇよー」
「だから悪戯になるんじゃない。で? 成実さんは何するの?」
「でこぴん」
「それだけ!?」
「いやー、いざとなったらなんも浮かばなくってさー」
あははー、と笑う成実さんって心底ヘタレだと思った。
執務室の近くまで来た。通り掛かった侍女さんに聞いたら政宗は間違いなく執務室にいると教えてくれた。
「じゃあ行くわよ」
「おう」
楽しみとは真逆の意味も混ざったドキドキ感の中、成実さんは左側の戸、私は右側の戸に手を掛けて、せーのと小声で合図して同時に開く。そして、
「政宗、トリックオアトリート!」
「とりっくおあとりんと!」
また微妙に違う成実さんにガクッとなった。とりんとってなんだ。トリートだよ。ん、じゃなくて伸ばすの!
気を取り直して室内に目を向ける。驚いてもいない政宗に来い、と手招きされた。なんで驚いてないのか気になりながらもなんだろうと近寄る。あ、意味を聞きたいのかも。
ハロウィンを知らなかったことを悔しがるだろう政宗を想像してニヤけそうになる顔を意識して抑えながら政宗の側に座った。
「手ぇ出せ」
「? これでいいの?」
意味が分からなかったけどとりあえず言われた通りに手を出すと、手の平に小さな巾着袋が乗せられた。紐を解くとはらりと布が広がり、中身が幾つか零れ落ちて慌てて両手で支える。出て来たのは小さな白い星の欠片みたいなもの。
「こんぺいとう?」
「Yes. それだけじゃねぇぜ? 美夜、俺からもTrick or Treatだ」
「・・・・・・・・え?」
政宗がニヤニヤ笑いながら見てくる。徐々に何を言われたのかを理解して、さぁっと血の気が引いた。
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