この蒼い空の下で 参
□七夕
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【05 〜 07 辺りの話】
人工の明かりが全くないためか星が鮮やかに見えて綺麗だなーと思って広縁に寝転んで夜空を見ていたらお酒を運ぶ途中の侍女さんが通った。慌てて起き上がって脇に退いてから聞いたら政宗と成実さんと小十郎さんが集まって呑んでることを教えてくれた。
一人なのも暇だから(『寂しい』じゃなくて『暇』だから!)侍女さんに着いて行って私も三人が居る政宗の部屋の前の広縁に行った。
「美夜か。どうした」
「暇だから来てみたの」
セクハラ防止に小十郎さんと成実さんの間に座ろうとしたらお酒を置くためにそこに侍女さんが膝を突いた。だから下がるのを待とうと思っていたのに成実さんが余計なことを提案してきた。
「せっかく来たんだから立ってないで座って梵の酌でもしたら?」
「セクハラされるから嫌」
「まだしてねえだろうが」
「そのうちするに決まってるもん。まだって言ったし」
「梵、アレだよ。嫌よ嫌よも好きのうちってやつ」
「そんなわけないでしょ!」
否定したのに政宗は気付かなくて悪かったなとニヤニヤ笑いながらわざとらしい口調で言っきた。しかも立ち上がってこっちに来たと思ったら警戒する私に構わず慣れた手付きで私の腰に腕を回して体を持ち上げると座っていた場所に戻った。
私が座らされたのはなんと政宗の膝の上! 危険極まりない場所だから一秒でも早く降りて逃げたいのにガッチリ腰をホールドされて逃げられない。しかも侍女さんにお銚子を渡され、すかさず政宗が空になった盃を差し出してきた。酌をしろってことかコノヤロウ。
我慢だ、我慢。今は夜だから騒いだら小十郎さんに怒られる(前に一回怒られた)。それに私は心が海のように広いから酌くらいしてあげようじゃないの。
「美夜ちゃん、眼が酒に呪いを掛けてるような眼なんだけど」
「やだなぁ。掛けてるような、じゃなくて掛けてるんですよ。政宗のお腹がゆっるゆるになりますように、って」
「ほう。そんなこと思ってやがったのか」
「ぐえぇ」
う、腕絞まってる!! お腹圧迫しないで!! 夕飯がまだ未消化だからリバースしちゃう!! ギブギブと政宗の腕をバッシバシ叩いていたら小十郎さんがやれやれというようにため息を吐いた。
「政宗様、そこまでになさいませ。美夜も思っていても口には出すな」
「チッ」
「ふぁい……」
侍女さんが微笑ましそうに笑みを浮かべながら下がっていった。だからさ、なんでこのお城で働く侍女さん達は私と政宗のやり取りが仲が良いように見えるわけ? 謎過ぎるんだけど!
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