この蒼い空の下で 弐
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やっと手に入れた。
自ら抱き着いてきた美夜の体を強く抱き締める。緊張に体を強張らせているものも、恥ずかしさが勝り言葉には出来ないのだろう俺への恋情がその全身から伝わってくる。
本音を言えば美夜の口から『好き』という言葉を聞きたい。『愛してる』じゃなくてもいい。せめて『好き』が聞きたい。だが、極度の恥ずかしがり屋の美夜からそれを聞くのが難しいことは分かっていた。だから違う言葉かもしくは行動で伝えてくるだろうと思っていた。
そしてそれは当たっていたのだが、まさか『好き』よりも大胆で過激な言葉が聞けるなど、思いもしていなかった。嬉しい誤算だ。
私の全てを政宗にあげる。
美夜が欲しい。美夜の心も、体も、美夜の全てが欲しい。そう思っていた俺にとってはある意味『好き』を凌駕する言葉だ。
「たまんねぇな」
「え?」
「最高の気分だってことだ」
「最高?」
「ああ。何せ、ずっと手に入れたかった存在がようやく俺のものになったんだからな」
グッと強く腰を抱き寄せ吐息が触れるほどに顔を寄せれば一瞬にして耳まで赤くした美夜は恥ずかしそうにぎゅっと眼を閉じた。
本当に美夜は初心だ。男女のあれこれにまるで慣れていない。恋愛感情にずっと気付かなかったことからしても今までどこかの男と良い雰囲気になったことも無いだろう。
それはつまり、俺が教えていくことが美夜の全てになるということ。今でも既に最高の女である美夜を、より俺好みに育て上げることが出来る――。
「Haッ…たまんねぇ」
「え? んっ」
ついさっき言ったのと同じ言葉でも、今度のは初心な美夜が知れば恥ずかしがるどころか怖がらせてしまいそうなほどの男の欲に満ちた言葉を呟くと、聞き逃したのか恐る恐る眼を開けた美夜の唇にキスをした。
「ましゃっ……っ」
驚いて身を引いた美夜を抱き寄せ再びキスをする。反射的にぎゅっと眼を閉じ唇も固く引き結んだ美夜の緊張を解すように、角度を変えて優しく触れるだけのキスを繰り返す。
「ん……」
多少思っていたよりも時間は掛かったが、狙い通りに次第に美夜の体から力は抜け、爪が食い込むほど強く俺の二の腕を掴んでいた手も、今はただ添えているだけになっている。
ゆっくり体を倒していっても、それに抗う素振りは見せず、乱れた呼吸を繰り返しながらとろんと蕩けた眼を向けてくるだけ。
「俺以外の野郎にその顔は絶対に見せるなよ」
嫉妬で何するか分からねぇからなと心の中で付けたし、眼と同じく思考も蕩けているのか何を言われたのか分かっていない様子の美夜の頬に触れ、後れ毛を払うと息が整い始めていた美夜の唇を塞いだ。
今度は触れるだけで終わらず、呼吸を乱した名残で開いていた隙間から舌を滑り込ませ美夜のそれに絡める。
「ん、ふ……んんーっ!」
さすがにこれには意識が一気に引き戻されたらしく体を跳ねさせた美夜は舌を奥へと引っ込めた。それを追い掛け絡め、尚も逃げるその動きを利用して翻弄する。
「んっ、く……んぅ……」
ぎゅっとしがみつき、頑なに熱から逃げていた美夜も、いつしか全てを俺に委ねていた。
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