この蒼い空の下で 弐

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「政宗って凄いよね」

「独眼竜?」

「え、あっ、な、何でもない!」


思わず声に出してしまい、慌ててごまかした。話の繋がりの無いことを言っても困らせるだけだし何より何を、というか誰のことを考えていたのか聞かれたくない。だってまさか私の頭の中では慶次の話から政宗のことに変わっていったなんてなんか、ちょっと、恥ずかしいっていうか照れくさいっていうか・・・。


「そ、それよりさ、まつさんと利家さん、だよね? 政宗はとにかくハッピーな夫婦だって言ってたけど、どんな感じの人達なの?」


ごまかし半分聞いてみたかったこと半分だったから聞いてみたら、政宗と違って意地悪じゃない慶次は直ぐに私の話題に乗ってくれた。


「はっぴぃってのが何なのかは分からないけど、まつねえちゃんと利はすっごく仲が良いよ。利にまつねえちゃんが嫁いできてから何年も経つけど、二人の仲の良さは変わらないどころか年々仲良くなってるんだ」

「そうなんだ。良いなぁ。きっとおじいちゃんおばあちゃんになってもラブラブなんだろうなぁ」

「美夜はそういう夫婦に憧れるかい?」

「うん! だから絶っ対に浮気しない、ずっと私だけを見ててくれる人と結婚したいって思ってるの」

「それなら大丈夫。心配いらないよ」

「え?」

「あっ! えぇとっ・・・そ、そう! 美夜みたいな純粋な子を好きになる人なら浮気なんてしない男に決まってるってことだよ!」

「純粋って」


私は言うほど純粋じゃないと思うけどなぁ。苦笑しながらそれにしても、と思う。ずいぶんと焦ってたのが気になる。焦る前に言った言葉もなんか変だった。まるで私の将来の夫が誰か知ってるみたい。実は慶次は未来が視える! なわけないか。


「なぁ美夜」

「なぁに?」

「美夜は理想の夫婦像があるんだろ? ならさ、その相手は誰になるか想像してみないかい?」

「想像?」

「そう。まずはそうだなぁ。利とまつねえちゃんみたいにずっと仲の良い夫婦が理想なら、相手はきっと利みたいに優しい男だと思うんだ」

「あ、うん。確かに優しい人が良い」

「だろ? 包み込むような優しさを持ってて、でも優しいだけじゃ家も美夜も守れないから強くもあるんだ。もちろん腕力とか力が強いって意味だけじゃないよ。家を守る男としての強さって意味もある」

「それって、頼りになる人ってこと?」

「そうさ。もしかして、誰か思い当たる人が居るのかい?」


期待にかキラキラと眼を輝かせた慶次にちょっと苦笑。慶次って本当に恋愛関連のことが好きだよなぁ。

それにしても、思い当たる人かぁ。

優しくて、男としての強さも、頼りになる強さも持った人・・・。


「小十郎さん?」

「か、片倉さん?」

「うん。だってほら、小十郎さんて怒るとすっごく怖いけど実は優しい人だし、力はもちろん大人の男としての落ち着きがあって頼りになるじゃん」

「そうだけど・・・。う〜ん。思ってたよりだいぶ手強そうだなぁ」


困った顔で腕を組んだ慶次を見て、どうしたんだろうねと肩にいる夢吉を見たら夢吉も腕を組んで首を傾げてた。可愛すぎてキュンキュンしちゃうよ!!


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