この蒼い空の下で

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城内のざわめきで目が覚めた。大きな雷が鳴っても起きたことのなかった私が多少のざわめきで目が覚めるなんて珍し過ぎる。でも、今日ばかりは仕方ない。昨日の夜はあんまり寝られなかった。何度もうとうとと眠りかけたけど、すぐに目が覚めてしまった。

起き上がって着替えていると、侍女さんが入ってきた。起こす前に起きてた私に驚くけど、今日何があるのかを知ってるからか、すぐに顔を洗うための水を持ってきてくれた。


「あの、政宗はもう起きてますよね?」

「はい。今頃は身支度をなさっておられる頃だと思います。会いに行かれますか?」


少し考えて、首を横に振る。身支度ってことは鎧を着込んでるんだろう。私が行っても着方を知らないから手伝えない。邪魔になるだけだと思う。


「兵士さん達が集まってるところに行っても大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。では食事の後にでも・・」

「あ、ご飯はいいです。今から案内してもらってもいいですか?」

「畏まりました。ではこちらへ」


あんまり食欲は無いからいらなかった。こんなこと初めてで、それだけ不安を感じてるのかもしれない。

案内されたのは正門前の広間で、数え切れないほどたくさんの兵士さんが居た。馬の準備や武具の最終確認をしてるみたい。

邪魔にならないように隅に居たら、近くを見覚えのある兵士さんが通った。


「あ」

「んー? うわ! 姫さん!」

「あの、手大丈夫だった? 私名前聞くの忘れてたから人に聞くことも出来なくって・・」


通り掛かった兵士さんは、前に熱中症で私が倒れた日の昼間、誤解から切腹しようとして素手で刀の刃を握って手の平を怪我した人だった。


「だ、大丈夫っす! もうすっかり治ってるっす!」

「一応見せてもらってもいい?」


兵士さんは手に槍を持っていたから本人の言う通りもう大丈夫なんだろうけど、結構たくさん血が出ていたから心配で見せてもらった。

妙にぎくしゃくしながら広げてくれた手の平を取って見る。血のわりにそれほど深い傷じゃなかったみたいで、跡も残らず治っていた。


「良かった。でももうあんなことしないでね?」

「も、もちろんんっす! あ、あの、俺まだ準備が残ってるんで」

「もしかして邪魔しちゃった? ごめんね」

「邪魔なんかじゃないっす! 俺暇で暇で仕方なかったっすから!」


言ってることが矛盾してる気が・・・。それになんか顔赤いし。熱がある、にしては元気だし手は熱くなかったしなぁ。あ、高揚してる、のかも。


「あなたも、行くんだよね?」

「もちろんっす! 筆頭のために命張る覚悟っす!」

「そ、なんだ。えと・・・・き、気をつけて、ね」


私と兵士さんの間にある認識の違いの大きさに胸に重しを乗せられたかのように苦しくなった。それを無視して無理矢理笑みを浮かべて言うと、兵士さんはやたらと感激して何度も頷きながら戻って行った。

でも、行った先に居た他の兵士さんから殴られたり蹴られたりしてた。多少手加減はされてるみたいだけど・・・。あの人みんなから嫌われてるのかな? そんな風には見えなかったけどなぁ。


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