この蒼い空の下で
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※ 途中微裏表現が入ります
「ぅ…ん……」
「気付いたか」
「……まさむね？」
声の方に顔を傾けたら額からずるっと濡れた何かが落ちた。でも頭がぽーっとしていて何が落ちたのか確かめる気が起きない。政宗の後ろ、なぜか開け放したままの入口から星が見えた。なんでこんな時間に政宗が側に居るんだろう。ぼぉっと政宗を見ていたら額に政宗の手が置かれた。
「まだ少し熱いか」
「きもちぃ……」
「An？」
「手、冷たくて気持ち良い」
政宗の手を取って、額から外して頬を寄せた。私よりも体温の低い政宗の手が今日は心地好く感じる。目を閉じたら手が微かに動いた。
「ごめん。嫌だった？」
「いや、気にするな」
離した手は直ぐにまた額に置かれた。目を閉じて心地好さに浸っていたら政宗が外に向かって小さな声で何か喋ってるのが聞こえた。少しして、誰かが戻ってきて政宗に声を掛けた。
「美夜、起きられるか？」
「大丈夫だけど……」
「なら起きて飲め」
起き上がると水の入った湯飲みを渡された。そういえばやけに喉が渇く。汲み上げたばかりなのか水は冷たくて、その冷たさが少し火照った体に心地好い。
「ふぅ……なんか、生き返るって感じ」
「倒れたんだから当たり前だ」
「え？ 倒れた？」
首を傾げながら肩からずり落ちかけた衿を引き上げた。そうしながら違和感を感じた。やけにパジャマ変わりの白小袖の止め方が緩い。気をつけてないと簡単に肩からずり落ちちゃう。なんで……。
「あっ」
「思い出したか」
「うん。私お風呂場で倒れたんだった。考え事してたらつい長湯になっちゃったんだよね。ヤバいと思って出ようとした時にはもう遅くってさ」
「考え事？」
「うん。私の負けにならない形で勝負を無しに出来る方法は無いかなーって……ていうのは冗談で！」
慌ててごまかそうとしたけど無理だった。ニヤニヤ笑う政宗はごまかされてくれそうにない。ああもう私の馬鹿！
「言っとくけど作れないわけじゃないからね！ ただ道具がほとんど違うから作れないってだけで道具さえあれば美味しいご飯を作ることが…」
「無しにしてやるよ」
「……え？」
あれ？ 今の幻聴？ 思わずまじまじと政宗を見る私に構わず政宗はなぜかにやにやと質の悪い笑みを浮かべた。
「良いモン見させてもらったからな。特別に今回だけは無かったことにしてやる」
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