この蒼い空の下で

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「成実、くれぐれも政宗様の馬に美夜を乗せるんじゃねえぞ」

「分かってるって」

「乗せたら呪うから」

「眼がマジで怖いって!」


マジにもなるに決まってるじゃない! 大っ嫌いなジェットコースターの方がマシって思えるくらい政宗の操る馬は怖かったんだもん! もし乗ったのが食後直ぐだったら絶対リバースしてたんだから!

耳タコになりそうなくらい小十郎さんに言い聞かされてげんなりしてる成実さんの手を借りて馬に乗る。政宗を見たらものすごーくつまらなさそうな顔をしてた。もしかして行きに飛ばしたのはわざと? ドSだから有り得るわね。

まだ畑の世話をするという小十郎さんと別れてポクポク馬を歩かせる。ゆっくりだから多少体が揺れる程度で超快適! 行きは出来なかった景色見物をのんびりしているうちに前方の見える街並みに意識が向いて、出掛けられると分かった時に出来たら良いなと思ったあることを思い出した。


「ねえ、このまま真っ直ぐお城に戻るの?」

「行きてえ所でもあるのか?」

「うん。街を見に行きたいの」

「街を? 見てどうすんの?」

「どうって言われてもこの時代の町並みが見たいだけなんだけど……」


二人ともよく分からないって顔してたけど政宗からオッケーが出た。やったね! 写真を撮ったり出来ないのがちょっと残念だけど一度は見てみたかったんだよね。

街に着いた時にはお昼を少し過ぎたくらいで、お腹も減っていたから三人でお蕎麦を食べた。その後は観光名所があるわけでも無いし時代劇のドラマとかで見る町並みと同じなのかとかが気になってただけだから適当にぶらつくことになったんだけど……。


「美夜ちゃん、飴売ってるよ。買ってあげようか?」

「……いりません」

「あ、向こうで風車売ってる。あれは?」

「……いらないです」


なぜかやたらと成実さんが物を買ってくれようとする。しかもチョイスが全部子供が喜びそうな物。おまけに政宗は私達の遣り取りをにやにやと質の悪い楽しそうな笑みを浮かべて見ている。政宗がこんな表情をしてるってことはもしかして成実さん、私の年齢勘違いしてるんじゃ……。


「成実さん」

「なに? やっぱり風車欲しい?」

「違います。そうじゃなくて、成実さんて私のこと何歳だと思ってるんですか?」

「美夜ちゃんの歳? 十三、四歳じゃないの?」

「クッ!」

「笑うな!!」

「え? 何なに?」


肩を揺らして笑っていたかと思えばにやにや笑いながらこれみよがしにぽんぽんと私の頭を叩いてきた政宗の手を振り払い、あんたのせいだと一人野次馬よろしく政宗が笑い出した理由を気にしている成実さんを睨んだ。


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