この蒼い空の下で

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侍女さんがどこからか調達してきた地味な着物に着替えて政宗が待つ場所に連れて行ってもらった。案内が無いと迷うのは城が広すぎるせいで私が方向音痴なわけではありません! 自分の部屋から政宗の部屋とお風呂場とトイレには一人でも迷わずに行けるんだから! ――言っててなんか寂しくなってきた……。

藁草履を履いて外に出て、着いたのは厩の近く。既に政宗(と、なぜか成実さんも居た)は外に出した馬の側に居た。


「おー、すごーい。本物の馬だ。意外におっきいんだね」

「美夜ちゃんて馬見たことないの!?」

「テレビでならあるけど生では初めて。触っていい?」


許可をもらって政宗が手綱を握ってる馬の首を撫でる。あったかい! 生き物だから当たり前か。


「怖くはねえか?」

「平気だよ。むしろ目がくりくりしてて結構可愛いね」

「なら乗せても平気だな」

「なんで?」

「馬ってのは繊細な生き物だからな、乗せる人間の感情を察するんだ」

「へぇ〜、そうなんだ」

「それに賢い。お前よりもな」

「そうなんだ。……って、ちょっと! 私よりも賢いってなに!? いくらなんでも馬より馬鹿じゃないわよ!」


ビシッと馬を指差しながら政宗を睨む。と、目の端で馬が口を開けたのが見えて、


「ぎゃー! ちょっ! 噛んだ! この馬私の手を噛んだよ!?」

「自分より馬鹿な奴にお前の方が馬鹿だと言われりゃ怒るに決まってるだろ」

「事実言っただけじゃん! 人間と馬なら人間の方が痛い! ちょっ、この馬マジ噛みしてるんだけど! 痛いんだけど!」

「そろそろ離してやれ。それ以上銜えてると腹下すぞ」

「私の手はそんなに汚くないわよ!!」


どこまで失礼なのよ! ほんっとムカつく! 馬の涎(と歯型)の付いた手で政宗を平手打ちしようとしたら後ろから背中を蹴られた。


「ぷっふーっ! 馬に足蹴にされてるよ! そんな女の子見たの俺初めてだよ!」

「笑うなーっ!!」


腹を抱えて笑う成実と私を蹴った愛馬を褒める政宗の両方に猛烈な怒りを感じた。お前らいつか覚えてろよ!!


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