この蒼い空の下で

□08
1ページ/4ページ


今日も政宗に聞かれるままに私が居た世界のことを話してその休憩中にずーっと気になっていたことを聞いた。


「ねえ、小十郎さんて毎朝どこに行ってんの?」

「畑だ」

「は?」


畑? 畑って、畑、だよね? 野菜を育ててる場所って意味の畑、だよね? 小十郎さんと畑って結び付かないんだけど。


「見回り?」

「何のだよ。畑に行く用事っつったら育ててるからに決まってんだろ」

「え。それってまさか、野菜を?」

「他に何作るってんだよ」

「そうだけどだって小十郎さんが畑にいるって想像つかないんだもん」

「気持ちは分かるよー。あの顔で野菜作りが趣味なんて誰も思わないしね」

「趣味なの!?」


いつの間にか政宗と一緒に話を聞くようになってた成実さんの方を見る。


「うん、趣味。畑を弄ってる時の小十郎はほんと楽しそうなんだから」

「年々面積も広くなってるしな」

「確か今年は米作りにも手ぇ出したんじゃなかったっけ?」


一言で言って、信じられません。だって小十郎さんだよ? 実は気が利いて優しい一面もあるって知ってるけどぱっと見極道の幹部にしか見えない小十郎さんの趣味が、土弄り?

家庭菜園が趣味のばあちゃんが、野菜の世話する時の格好を思い出す。頭は手ぬぐいかつばの広い麦藁帽子。足は長靴。腕には袖が汚れないようにアームカバー。手には軍手と鍬。

思い出したばあちゃんの姿を小十郎さんに置き換えてみる。……に、似合わない! ていうか違和感の塊なんだけど!! むしろ小十郎さんが畑の世話をしてるんじゃなくて世話をしてる人達を監視してる、の方がしっくりくるんだけど!!


「連れて行ってやろうか?」

「えっ!? マジで!? 行く行く! 見てみたい!」

「梵ー、そんなことしていいの?」

「こいつが見たいって言ったんだから平気だろ」

「え? 何? 小十郎さんは畑に居る姿を見られたくないの?」

「そうじゃねえよ。とにかくお前は着替えてこい」

「なんで?」

「城外でその格好は目立つだろうが」


馬鹿かお前は、って目で見られた。そうですね! 確かにどこぞのお姫様みたいな高そうな着物は目立ちますね! でもそんな眼で見なくてもいいじゃん! セクハラする前に女の子に対する優しさってもんを身に付けやがれ!


次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ