この蒼い空の下で
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「い、いい加減離してほしいんだけど!」
ぺちぺち頬を叩いたりして何とか頬の熱は引いたけど、その間も腰に腕を回されたままで離してくれそうな気配が全然無かったから腹いせも込めて抓ってやったら政宗は眉をしかめた。爪も立ててやったからね! 政宗の腕にはくっきりと半月型の跡が出来ている。ざまあみろ!
「それが人にものを頼む態度かよ」
「セクハラ野郎には相応しい態度だね!」
「せくはら? なんだそりゃ」
「精神的肉体的に性的嫌がらせをすることよ!」
「してねえだろ」
「あんたのその顔がセクハラだ!」
こいつ頭大丈夫か? っていう眼を向けられた。私の頭はいたって正常だよ! 直ぐに見惚れさせるその顔のせいで私は悔しい思いしてるんだから立派なセクハラ……あれ? なんか違わないか?
「えーと……とりあえず離して」
「……本物の馬鹿か」
「馬鹿じゃないわよ!」
政宗の頬を挟むように叩いてやろうと両手を上げたらあっさり交わされた。でもバッチーンと良い音はした。手の平が痛い……。
「避けるな!」
「避けるに決まって……おい」
「なによ!」
「腕を見せろ」
見せろって命令系かよ! 腕くらいいいけどさ。
「どうなってやがる」
「もしかして傷のこと? それなら朝起きた時には治ってたけど」
「一晩で治るわけねえだろ!」
「って言われても治ってたし」
昨日政宗のせいで腕に出来た枝による幾つかの引っ掻き傷はもう無い。かさぶたすら無い。まるで最初から怪我なんかしてなかったかのように肌は滑らかだ。
政宗の言うとおりいくら軽傷だったとはいえ一晩で治るなんて有り得ない。けど実際に治っちゃってるし、悪化したわけじゃないから別にそれほど気にすることないんじゃない? 私はそう思ってたけど政宗は違うらしい。
「火傷も治ったのか?」
「うん」
「見せろ」
「はぁ!? ちょっ、わー!!」
払い退けようとする私の手なんて無視して無理矢理衿を左右に広げやがった。袖を捲るのと同じ感覚でいるんじゃないでしょうね!?
「ちょっと! 何触ってんのよ!! 触って良いっていつ言った!」
「治ってやがる」
「だからそう言ったじゃない! てか触るのやめろ! 撫でるな!」
これは完全にセクハラだよ! 訴えるからね! 殿様だからってなんでもしていいと思うなよ! ってここ裁判所も警察もないじゃん!!
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