この蒼い空の下で

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「でも俺も美夜ちゃんにもう一度会いたいって思ってたからちょうど良かったよ」

「太一さんも?」

「うん。この間の美夜ちゃんはちょっと変わった服を着てただろ? そのことが聞きたかったんだよね」

「あ、あー・・・あれは、ですねぇ」

「あれは?」

「えーと・・・洋服、というか南蛮の服、な感じ?」


着物の形をベースに動きやすいように洋服要素を入れたデザインだけど、丈が短いことを覗けばぱっと見は和服に見えなくもない。だけど太一さんとは間近で話したから和服とは全く違うことに気付かれたんだろう。

しどろもどろに大雑把に言うと、太一さんは興味深そうな顔を浮かべた。


「へぇ、そうなんだ。俺南蛮の服って初めてみたけど、南蛮の女性ってあんなに足を出してるんだね。凄いなぁ」

「・・・・・・・」


太一さん、ごめん。私が言ったことだけど、あれスカートはスカートでもこの時代のスカートとは長さがかなり違うと思う。私の生まれた世界の戦国時代辺りと同じなら、女性はドレスとかロングスカートで足は出してないと思う。ていうか、注目するとこ足なの?


「ん? 何?」

「な、なんでもないです!」


全然そんな風には見えないけど太一さんも成実さんみたいにむっつりなのかなーって目で見てしまってた。気をつけないと。


「ねぇ、南蛮の服が着れるってことは美夜ちゃんは実は良いとこのお嬢さん? 俺失礼な口聞いちゃってる?」

「そんなことないですよ。あれは夏に私が暑さで倒れたから政、じゃなくてえぇと・・・お世話になってる人が作ってくれただけですから」

「そうなんだ。南蛮物なんて高いだろうに、その人太っ腹だね」

「太っ腹っていうか、優しいんです。セクハ・・・スケベな意地悪もいっぱいしてくるんですけどね」


日本語だけで喋らなきゃならないってかなり大変。お城の人達は政宗が私を気に入った理由の一つに英語が理解出来るというのもあると思っているみたいで気を使う必要が無いんだよね。政宗の名前やお城で暮らしてることも言えないから言葉には気をつけないと。


「美夜ちゃんて・・・」

「はい?」

「実は、囲われ者?」

「私何も囲ってないですよ?」


聞き返したら驚かれた。なんで?


「えーとさ、囲われってのは要するに妾って意味なんだけど」

「んぐぶっ! ゲホッ、コホッ」


飲んでたお茶が変なとこに入った。妾って愛人ってことだよね!? 私が政宗の愛人!? なんか響きがエロい! じゃなくて!


「違いますよ! 私は政宗の愛人なんかじゃないです!」

「違うの?」

「違います!」

「でもさ、さっきお世話になってる人って言ってたよね? 妾じゃないならどんな関係なの? 妾でも何でも無いのに男の家に若い女の子が住むなんてちょっと普通じゃないと思うんだけど」


言われて初めて気付いた。

私と政宗の関係ってなんなんだろ?

許婚ってのは嘘だし(あ、また胸がズキッてなった)友達、ってのもちょっと違う気がする。知り合いだと他人行儀過ぎる気がするし・・・。う〜ん・・・・・・・。


「居候先の主と居候させてもらってる側?」

「なんで疑問形なの?」

「き、気にしないで! 居候です! 居候!」


深く聞かれても困るから強引にごまかした。でもほんと、私と政宗の関係って、なに?


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