この蒼い空の下で

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どうしよう。盗み聞きしてたのバレる覚悟で賭けるの止めてって言おうかな。

迷っている間に彼等の話題が賭けからズレてきた。


「しっかし驚いたよなー。まさか筆頭が婚約されるなんて思わなかったぜ」

「だよなー。ジジイ連中の娘の売り込みにうんざりしてらしたもんなー」


ジジイって。口悪いなぁ。政宗のこと慕ってる分政宗を困らす連中が嫌いなんだろうけどもーちょっと言い方考えようよ。


「姫さんもさ、」


あ、私の話に戻るみたい。


「筆頭が選ばれた女性だから素晴らしい人なんだろうとは思ってたけど・・・・」


けど、何? なんで沈黙するの?


「姫さんてさ、」


だから早く言ってよ! 気になるじゃない!!

なぜか妙に間を開ける彼等に段々と苛々してくる。男ならズバッと言いなさいよ! 今なら悪口だろうと許してあげるから! などと思っていたら、彼等が口にしたのは予想外な言葉だった。


「良いよな」

「うん、良い」

「ああ、すっげぇ良い」


い、良い? は? え? 何が「良い」なの?


「俺らみたいな下っ端にまで優しいしさ、大したことしてなくても絶対にありがとうとかお疲れ様とか言ってくれるし、」

「何より笑うと可愛いんだよな」

「ああ、可愛い。あの笑顔見られるなら俺何でも出来る気がする。つーか姫さんのために何かしてあげたいって気になる」


俺も俺もと言い出す兵士さん達に、盗み聞きなんかするんじゃなかったと激しく後悔。顔が熱い。こんな手放しの好意を寄せられたことなんか無いからすんごい照れる。

嫌われてなくて良かったけど、次から彼等と顔を合わせづらい。賭けのこともどうでもよく思えてくる。

だって、可愛いって。普段政宗に女らしくないって言われまくってるからか余計に嬉しい。


「さすが筆頭が選ばれた女性だけあるよな」

「女性っつーか女の子だけどな」


・・・ちょっと待て。これってまさか。


「ずっと婚約の状態なのも姫さんが成長されるのを待ってるからなんかな?」


やっぱりー!! こいつらも私の年齢勘違いしてやがる! 私はそんなに童顔なの!? そんなに小さく見えるわけ!? 私だって好きで童顔で小さく生まれたわけじゃないわよ! もっと身長もあって大人っぽい顔立ちが良かったわよ!!

怒鳴り込んで言ってやろうと動きかけたら、一人の兵士さんが声を出した。


「なぁ。俺、成実様に聞いたんだけどさ、姫さんもうすぐ十八らしいぜ?」


シィーン・・・・てなった。


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