この蒼い空の下で

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部屋でジッとしてるのも落ち着かなくて、城内をぶらつきついでに道順でも覚えようと歩いていたら数人の兵士さん達が輪になって集まってるのを発見した。

リーゼントだったり目つきが悪かったりと見た目はヤンキーだし座り方もヤンキー座りだから全然兵士に見えない。あれでタバコ吸ってたらある意味完璧だ。彼等は気の良い人達だと分かっててても今はちょっと近寄り難い。


「・・・姫さん・・・・」

「ん? 今のって・・・」


ちょっと異様な雰囲気もあったから、別の道を行こうとしたら風に乗って声が聞こえてきた。彼等が姫さんと呼ぶ相手は私が知る限り私だけ。ってことは、彼等の話題は私のこと? 何話してるのかちょっと気になってきたぞ。

・・・ちょっとだけ、ちょっと聞くだけだから。

盗み聞きなんてダメだって分かってるけど誘惑に勝てなくて、彼等に見つからないように気をつけながら庭に降りて縁の下に潜り込む。お城の縁の下はそこそこの高さがあるから四つん這いでなら入れる。決して私が小柄だからってわけじゃないから!

縁の下を進んで廊下から庭に降りるための階段の裏に隠れる。ここなら彼等からそんなに離れてないから良く聞こえるはず。


「やっぱ恥ずかしがってしない、が一番人気かー」


ビンゴ! ばっちり聞こえるわ。


「しょーがねぇって。朝の姫さん見てたら誰だってこれ選ぶに決まってんじゃん」


朝の私? 私何かしたっけ? むしろしなかったと思うんだけど。


「でもよ、二人きりになったら、ってのも結構人気だぜ?」


二人きり? なんかちょっと嫌な予感がしてきたんだけど。


「はぁ? なんでそんなんまで入ってんだよ。二人きりの時じゃ姫さんが筆頭にちゅうしたかどうか確認出来ねぇだろ」


やっぱり・・・・。カクッ、と頭が足れる。そりゃ確かに出陣する政宗にキスしなかったよ? だから政宗に帰ったらしろとか言われちゃったわよ。でもさ、だからってなんでそれを賭けにしてるわけ? そんなに私にキスさせたいわけ? キスするシーンを見たいわけ?

それに出陣してからまだ半日も経ってないのに賭けが広まるの早過ぎるわよ! あんたたちどんだけ賭け好きなのよ! ていうかしないから! する必要が分かんないし! そりゃ表向きは婚約してることになってるけど実際は違うんだから!


「あれ?」


なんか胸の辺りがもやもやするような? 彼等にほんとのことを言えないもどかしさから?


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