この蒼い空の下で

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綱元さんが部屋に戻って行くのを見送ると、すぐに侍女さんを探して紙と筆を貸してほしいとお願いした。

部屋まで持ってきてくれたことにお礼を言って、机の前に座る。墨は持ってきてくれた時には既に摩ってあった。

まずは私の方にも何も起きてないから大丈夫って書こう。それから・・・・。後はなんて書けばいいんだろう。怪我しないで、はダメだし、気をつけて、なんて当たり前過ぎる? 日暮れ前には使いを出したいと言われたからあまり長く考える時間は無い。

ギリギリまで悩んで、考えて、結局気をつけて、と書いた。ありきたりだけど、その分一文字一文字丁寧に書いた。書き終わると力を入れすぎたために筆に触れてた部分の指がちょっとへこんでて痛かったけど、私なりに少しでも丁寧に、少しでも気持ちが伝わるようにと書いた結果だから気にならない。

ふーふー息を吹き掛けたりして墨を乾かしてから折り畳んだ。政宗から手紙を貰うのもそうだけど、出すのも初めてだからなんとなくドキドキする。

侍女さんに綱元さんの部屋まで案内してもらって行ったら、綱元さんはもうとっくに手紙を書き終えてたみたいだった。


「すみません。遅くなっちゃって」

「いえ、構いませんよ」


お願いしますと言って手紙を渡すと、綱元さんは使いをお願いする兵士さんを呼んで自分が書いた分と私が書いた分の手紙を一つに纏めて渡し、政宗に届けるよう命じた。

命じられた兵士さんが二通の手紙をしっかり懐に仕舞い、一礼して去った後、私も部屋に戻ろうと立ち上がりかけたら綱元さんに引き止められた。


「少しお時間を頂いても構いませんか?」

「大丈夫ですけど・・・」

「前々から貴女にお聞きしたいと思っていたことがあるんです」


居住まいを制した綱元さんに釣られ、私も背筋を伸ばした。


「美夜さんは、戦をどの程度理解しておられますか?」

「えぇと、政宗達が誰と戦うかってことですか?」

「それらも引っくるめ、戦そのものを、です」

「戦そのもの・・・」


はい、と頷いた綱元さんは、いつも浮かべている微笑を浮かべていたけれど、なぜか今日は怖く感じてしまった。


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