この蒼い空の下で 弐

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私の部屋に着くと政宗も入ってきて、火箸を使って弱くなっていた火鉢の火の勢いを取り戻した。そのまま座り込んで出ていく素振りを見せないから何か用があるのかと思ったけど政宗は何も言わない。

私の側に居たいだけ、とか? 今はジョークだと言われたけど朝言われたことを思い出してそう思ったけど、口に出しては聞かない。もしも聞いて頷かれたりしたら恥ずかし過ぎてどうしていいのか分からなくなる。

何か話題をと探すけど、今浮かぶのは政宗の誕生祝いをどうするか。というものだけ。他の話題は浮かばないしプレゼントも思い浮かばない。もうサプライズは諦めて小十郎さんに言われた通り政宗に聞くしかないのかぁ。でもなぁ・・・。


「美夜、全部声に出してるぞ」

「え、嘘っ!?」


慌てて両手で口を押さえるけどもう後の祭りだ。政宗は嬉しいのと楽しいのとが混ざった顔をしてる。私の馬鹿。


「俺のBirthdayも祝ってくれるのか?」


もうサプライズなんて無理だから、小十郎さんのアドバイス通りにしようと決めて頷いた。


「何か欲しいものとかしてほしいこととかあったら言って」

「何でも良いのか?」

「私に出来ることなら、だけど」

「OK. なら、俺の好きな時に好きなだけお前の膝を貸せ」

「え? 膝?」


私が思わず自分の膝を見ている間に政宗は火鉢を脇に退けるとその場にごろりと横になった。私の膝に頭を乗せて。

こ、これって、ひ、膝枕ってやつじゃ・・・。


「とりあえず昼飯まで寝る」

「ちょっ、待っ!」

「祝ってくれるんだろ?」


嬉しうな顔してそんなこと言われたら膝枕なんて恥ずかしいから無理、なんてもう言えない。


「お、おめで、と」


どうぞと言うのは私から膝枕を進めたみたいに聞こえるから変わりにお祝いの言葉を言った。


「Thank」


声も顔も嬉しそうにしてそう言うと、寝ると言った通りに本当に政宗は眼を閉じた。膝に掛かる重みにこっちの心臓は大変なことになってるっていうのに呑気に寝ちゃうなんて。

ちょっとだけ、と政宗の頬をふにっと摘んでみたら政宗がパチリと眼を開けた。慌てて頬から手を離すけど、その手を政宗に掴まれてしまった。


「寝ようとする人間の頬を摘むな」

「ご、ごめん」

「ったく」


嘆息すると政宗は再び眼を閉じた。だけど私の手が掴まれたままだ。


「政宗、あの、手」


声量を抑えてそう言ったら、なぜか離されるどころか指を絡めるようにして握られてしまった。


「ま、政宗っ!?」

「もう悪さしねぇように捕らえとくだけだ」

「も、もうしないからっ」


離してもらわないと私の心臓が持たないのに!

引っ張っても振っても離れないから手の甲を爪を立てて抓ったら指先にキスされてしまった。こっちは心臓が持たないっていうのに!!


「美夜」

「何よっ」


本当に心臓がどうにかなっちゃいそうだし恥ずかしいしで半泣きになりながら答えたら、眼を閉じたままの政宗にとんでもないことを言われてしまった。


「昼飯食った後も夕方まで膝貸せ」

「えぇぇぇっ!?」


そんなの無理ぃぃっ!!



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