この蒼い空の下で
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あーあ、良いことなんか何にも無いじゃん。むしろ女として規格外なんて言われたし疲れたし。
全力疾走に疲れて逃げ続けることなんか無理で政宗に担がれて運ばれ中です。なんかもう疲れてどうでもよくなってきた。今ならセクハラされても海のような広い心で許せそうな気がします。
「ってなんで押し倒すわけ!?」
「ンなもん消えちまってるからに決まってるだろうが」
「決まってないから! 全然決まってないから! っていうかなんでそんなにキスマーク付けたがるのよ!」
「所有物にはMarkingするもんだろ」
「私はあんたの所有物じゃないわよ!! つーかマーキングって犬か!」
「だれがDogだ!!」
ギャイギャイ騒いでもやっぱり誰も来ない。ほんと皆さん勘違いし過ぎですって! 必死こいて政宗を押し返す私と阿呆みたいにムキになってキスマーク付けようとしてる政宗の姿のどこがいちゃついてるのか私に説明して!
あと誰か私の味方をしてください! 政宗をぶん殴ったり蹴っ飛ばしてでも私を助けてくれる方いませんかね? こいつのこと殿様なんて思わなくていいから。ただのセクハラ馬鹿野郎って思えばいいから。だから誰かこの馬鹿力野郎を今すぐ殴ってぇっ!
「ひにゃあぁーっ!!」
「暴れんじゃねえ! 脱がすぞ!」
いったいどれだけ付ける気だよ! もう四つも付けたじゃない!! お願いだからもう勘弁して! 消えたぜイェイなんて言わないから!!
「付け過ぎだ馬鹿ぁー!!」
あんたの彼氏って独占欲強すぎじゃない? って言われそうなくらい付けられました。首筋も鎖骨も真っ赤です。にやにや笑う政宗の顔を釘バットで殴りたいです。角材でもいいです。どこかにありませんかねえっ!?
ちくしょう! 絶対に小十郎さんに言い付けてやる!! また説教されるがいい!!
―――――
「小十郎さーん!」
帰ってきた小十郎さんに(ほんと毎朝どこに出掛けてるんだろう)チクりました。んで首筋と鎖骨見せたら即政宗のとこに。やったぜ! 政宗ざまあみろ! って思ってたのに……。
「政宗様、あれでは何かの病かと勘違いする者もいるやもしれません。ほどほどになさってください」
小十郎さーん!?
「それもそうか」
それもそうか、じゃないわよ!! なにこの主従!! 主が主なら部下も部下ってか!? 小十郎さんはいつでも私の味方だと思ってたのに! ……そーいやこのままいちゃつけみたいなこと言われてたっけ。この城に私の味方は零ですか? 泣いてもいいですか?
キスマークは一晩寝たらまた綺麗さっぱり消えてた。でもそれを見た政宗にまた付けられた。一応五つに控えてくれたけどどうせなら付けるのやめてほしい。
はぁ。早く帰りたい。早く政宗のセクハラから解放されたい。このままじゃいつかマジで食われる気がするもん。
続