この蒼い空の下で

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「居たぁーっ!」

「うわぁっ! びっくりしたぁ。美夜ちゃんかぁ」


のんびりと廊下を歩いていたところを発見して声を上げたら成実さんはビクッと肩を跳ねさせた後に出てもいない額の汗を拭う仕種をみせた。悪びれた様子が欠片も無いその姿にさらにイラッとする。


「美夜ちゃんかぁ、じゃないですよ! なんで助けずに逃げたんですか!」

「えー、だって梵の楽しみ奪ったら後で俺に被害がくるんだもーん。それに美夜ちゃんだって楽しかったでしょ?」

「楽しいわけあるかー!!」


掴んだ襟をガックガクと容赦無く揺さぶってやった。


「美夜ちゃん落ち着いて! 俺が悪かったから! 楽しかったじゃなくて気持ち良かったの間違いだったよな!」

「それも違ぁーう!!」

「いったぁー!」


今度は足の甲に踵を振り下ろす。


「美夜ちゃん暴力的過ぎるよ!」

「うっさい! 逃げたばかりか私が政宗とヤッたみたいな言い方するあんたが悪い!」

「え? 梵とヤッたんじゃないの?」

「してません!!」

「首筋にそんな跡あるのに?」


バッと手を当てて隠す。思い出しただけで顔が熱くなるし政宗に対する苛々が沸いてくる。あの野郎キスマークなんか付けやがって! しかも隠せない場所に!!


「とにかく! ああいう時は私を助けてください!」

「えー」

「えーじゃないです! 小十郎さんを見習ってください!」

「もしかして途中で小十郎が来たの?」


頷く。なかなか戻ってこないし私と政宗が一緒に居るのに珍しく(珍しく、って……)静かだからと様子を見に来てくれた。おかげで私は政宗に食われずにすんだ。

あれはヤるじゃなくて食うって表現の方がピッタリだった。だって本気で貞操の危機を感じたからね!


「梵は?」

「小十郎さんに説教されてます」

「うわぁー。それはまたご愁傷様だなー」

「ちなみに成実さんが助けてくれなかったこともしっかりと報告済みですから」

「ゲッ! 美夜ちゃん鬼!!」

「知りませーん。助けてくれなかったのが悪いんでーす」


ガックリ項垂れる成実さんを見てちょっとだけ気分が収まった。政宗が説教されるのをちょっとだけ見たけど凄かったんだよね。小十郎さんが本物の鬼に見えたんだから。怒られていない私までビビッちゃったもん。あんなに怒った小十郎さん見たの初めて。あの小十郎さんを見たら悪ガキどころか不良でさえ絶対に即効で更正しちゃうね。

成実さんもみっちりがっつり叱られるがいいさ!!



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