この蒼い空の下で

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「幸村、詳しいお店の場所分からないから政宗に聞いたら教えるよ。政宗なら分かると思うから」

「そうか。手数をかける」

「あーのー、ちょっといい?」


なぜか眉間にシワを寄せた成実さんがの上げた手をヒラヒラ振って主張しながら聞いてきた。


「なに?」

「団子屋には幸村一人で行くの? それとも美夜ちゃんも行くの?」

「私はどっちでも・・」

「美夜さえ良ければ誘うつもりでいるのだが・・」

「良いの?」

「うむ。一人よりも誰かと食す方が美味いからな。それに美夜の話してくれるすいーつの話をまた聞きたいのだ」

「もちろん良いよ」


頷いたら幸村の表情がキラッキラ輝きだした。幸村がどれだけ甘いもの好きなのかが分かる。ますますカステラ作りに気合いが入るよ。


「ちょーっと待った!」

「なに?」


成実さんがわざわざ縁側に上がってまでぐいぐいと私と幸村の間に割り込んできた。


「それ俺も行って良い? つーか良いよね? あ、佐助も行こうぜ! な!」

「旦那と違って俺様団子に興味無いんだよねー」

「興味無くても行くんだよ! 俺だって甘いもん嫌いなの我慢して行くんだからさあ!」

「我慢してまでなんで行きたいの?」


聞いた途端に佐助に詰め寄っていた成実さんの肩がギクリと揺れた。


「成実さん?」

「あ、あー、いやー、そのー・・・お、おい、佐助!」

「俺様に頼られても」


佐助に手の平を上に向けて肩を竦められ、成実さんは頭を抱えてうずくまった。そんなに困るようなことを聞いたつもりじゃないのに。どうしたんだろ。

思わず幸村と眼を合わせるけど、幸村も分からないみたいでお互いに首を傾げた。


「やっべぇ! マジどうしよう。このままじゃ梵に役立たずって八つ当たりされるかもしれねぇ! あーくっそ! どうすりゃいいんだよ!」

「あ、あの!」


頭を抱えうずくまったまま成実さんがぶつぶつ言い出した時、こっちをチラチラ見ていた兵士さんの一人が手を上げた。そして緊張した面持ちで近付いてきた。


「て、提案なんすけど、良いっすか?」

「良いけど、何の提案?」

「は、話が聞こえてきたんすけど、姫さんは筆頭に甘味屋の場所を聞くんすよね?」

「うん。そのつもりだよ」

「な、なら筆頭に直に案内してもらったらどうっすか? その方が確実に店に辿り着けると思うっす!」

「それは、そうかも」


方向音痴じゃないはずだけど私って今でも気を抜くとお城の中で迷っちゃうもんなぁ。幸村に政宗も一緒でいいか聞いたら頷いてくれた。と言っても政宗の予定が合えば、になるけど。


「ありがと。政宗に相談してみるね」


そう言ったら兵士さんはなぜホッとした顔を見せた。不思議なことはそれだけじゃない。話が聞こえていたらしい他の兵士さん達も寄ってきて、提案してくれた兵士さんの肩や背中を叩いて労い始めたのだ。そしてその中には成実さんも混ざってた。


「よくやった! お前は最高だ! 今度酒奢ってやる!」

「ありがとうございやす!」


「何なんだろうね、あれ」

「分からぬ」


幸村と二人、今度もお互いに首を傾げた。


「あちらさんも大変だねぇ」


ボソッと佐助までが意味の分からないことを呟くのが聞こえた。



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