この蒼い空の下で

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「出陣する男に女がちゅーするのは普通なんだよ? 特に美夜ちゃんは梵の許婚なんだからむしろしなきゃダメなんだよ!」

「え!? なにそれ! そんな決まりがあるの!?」

「ある!」


政宗を見たらニヤニヤ笑ってた。ほんとか嘘かわかりにくい。政宗の表情だけなら嘘っぽいけど、あそこまではっきりと断言されたらいくら成実さんが言ったことでも疑いにくい。

どうしよ。これほんとにキスしなきゃダメなの? あ、でも頬ならまだそんなに恥ずかしくない、かも?


「成実、そんな嘘を教えて美夜さんをからかってどうするんですか」

「えっ!? 嘘なの!?」

「いやいや、嘘言ってるのは綱元だって」


キラッキラ目を輝かせた成実さんと、軽く成実さんを睨む綱元さん。小十郎さんも綱元さんと似たような表情だ。


「嘘つきはあんただ」

「おぶっ」


成実さんの頬に人差し指を突き刺してグリグリ。このやろう、危うく信じて政宗にキスするとこだったじゃないか。頬にだけど。

痛いと騒ぐ成実さんの頬をグリグリし続けてたら、背後から回ってきた手に顎を掴まれて無理矢理上向かされた。

ニヤニヤと見下ろしてくる政宗を睨む。首が辛いってのがわかんないわけ? 背が高いって良いわね! こんちくしょー!


「言っとくけどしないからね!」

「なんでだよ」

「成実さんの嘘だったのになんでしなきゃならないのよ。しかもこんな大勢の前で!」


興味津々で注目してる兵士さん達をビシッと指差す。と、成実さんが「野郎共ー!」と大声を上げた。ちょっと待て。何するつもりだ!


「美夜ちゃんは注目されてるとちゅー出来ないみたいだから全員後ろ向けー!」

「Yeahー!!」

「そーゆー問題じゃないし! キスするなんて一言も言ってないって言ってる側から顔近付けるなー!!」


どこの暴走族だと突っ込みたくなる返事をしてちゃんと回れ右する兵士さんと成実さんに突っ込みを入れつつ政宗の顔を両手で押す。

なんでそんなにキスさせたがったりしたかったりするのよ! 私は見世物じゃないし顔が良いからってキスを許すような軽い女じゃないんだからね!!


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