この蒼い空の下で

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政宗の前に横座りで馬に乗って移動。視線が高くなって見える景色が新鮮! なんだけど、意外にバランスが取りづらくて見てる余裕は直ぐに無くなった。

門をいくつか潜って城の外へ出た時にはもうすでに疲れてきてた。小十郎さんの畑って遠いのかな? 近いといいなぁ。遠いならもう見るの諦めたくなってきたよ。


「美夜」

「なに?」

「しっかり掴まってねえと落ちるぞ」

「え?」

「美夜ちゃん、馬の首でも梵でもとにかくどこでも良いから死に物狂いでしがみついてなよ。梵の手綱裁きってかなり荒いから」

「は? どう…」


いう意味? と最後まで言い切る前に政宗は掛け声と同時に馬の腹を蹴った。グンと体が後ろに引かれて鞍からお尻がずり落ちた。政宗が支えてくれなかったら絶対に落馬していた。


「ちょっ! 早い! 早い、っ!」

「喋ってると舌噛むぞ!」


もう噛んだ後よ!! 痛む舌先に滲む涙。でもぐんぐんスピードが上がるから落ちないように体を支えてくれてる政宗にしがみつくのでいっぱいいっぱい。政宗を睨んだりスピードを落としてと訴える余裕なんかミジンコほども無い。

今すぐに政宗の操る馬から下りられるなら大っ嫌いなジェットコースターにだって乗るよ! 連続で乗っちゃうよ! だってあっちは安全バーがあるだもん! だから誰か政宗を止めてぇーっ!!


―――――


「政宗様!? 美夜を連れていったいどうなされたのですか?」

「こいつがお前の畑を見たいっつったから連れて来た」

「そうでしたか。美夜、見たいなら俺に言え。政宗様の馬に乗るなど無謀過ぎる」


そういうことはもっと早く言ってください! そしたら私だってこんな地獄への直行便みたいな馬には乗らなかったですよ!

グロッキー状態で声に出すと胃の中の物が全てリバースしてきそうだったから心の中で訴えるだけ。城から畑までは実際にはそんなに離れてなかったけど、政宗のせいで一、二時間くらい掛かったように錯覚しちゃいそう。


「成実もなぜ政宗様をお止めしなかった。お前の馬に乗せて来れば良かっただろうが」

「いやー、ついうっかり失念しちゃってて」


なにが失念よ! へらへら笑いやがって! 代わりに乗せてくみたいなこと一っ言も言わなかったじゃない!! アドバイスよりもそっちを言ってほしかったわよ!!

小十郎さんに抱えられて馬から下ろされながら成実さんを睨んだら眼を逸らしやがった。城でのことと合わせて絶対に仕返ししてやる!!


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