この蒼い空の下で
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「話戻すよ。そのお守りだけど、何時何処で誰から貰ったの? どういうお守り?」
「さあ?」
「真面目に答えないと殺しちゃうよ?」
温かい湯舟に浸かってるのになぜか背筋が冷たくなった。怖い。冗談めかした口調なのに震えるほど怖い。
「もう一度聞くよ? 何時何処で誰からどんな理由で貰ったの?」
「し、知らない。昔から、持ってたから・・・」
喘ぐように答える。答えないとほんとに殺されてしまう気がしたから。
「覚えてないくらい小さい頃に貰ったってこと?」
「たぶん・・・」
「ふぅん」
浴槽の端で胸の辺りでギュッと手を握り締め縮こまる。政宗、と無意識に助けを求めてしまう。
「他にも聞きたいことあるけど続きは後にしようか。このままだと美夜ちゃんまた湯あたりで倒れちゃうだろうから」
佐助の声音が軽いものに変わった。怖さが消えて体の緊張も解けてくると頭がふわふわし始めてるのに気付く。確かにこのままじゃまた湯あたりしちゃう。
「ん? また?」
湯から上がって手ぬぐいで体を拭きながら疑問。確かに私は一度湯あたりで倒れてる。だけどそれはここでじゃなくて政宗のお城で、だ。それに佐助と会ったのは今日のはず。忍だからいろいろ調べたりもするって言ってたけど、だから知ってたのかな? でも私が湯あたりしたなんて情報役に立つとは思えないしなぁ。
「ねぇ佐助ー」
「何ー?」
「何で私が倒れたこと知ってるの?」
「俺様が助けてあげたから」
「は? え? 佐助が?」
「そうだよ。美夜ちゃんのこと探るために潜入したら湯あたりでぶっ倒れるからびっくりしたよー。俺様が居なかったら美夜ちゃんは溺死してただろうね」
「え!? そうなの!?」
「そうだよ」
「それは、えと、ありがとうございました」
「どーいたしまして」
佐助がいるだろう方向に向かってペコッと頭を下げる。なんだか電話しながらペコペコ頭を下げるサラリーマンの気分だ。・・・・・・・。
「ねぇ、佐助は私が湯の中に沈まないよう助けてくれたんだよね?」
「そうだけど?」
「・・・・・・・見た?」
「俺様は幼児に興奮する変態じゃないから安心しなよ」
「誰が幼児だー!」
胸はサイズダウンしちゃったけどだからって幼児体型じゃないわよ! 手ぬぐいを投げるけど当然当たったのは壁。ああもうほんとムカつく! 政宗だって幼児体型なんて言わなかったわよ!
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