Other Story

□目が覚めて…
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浮上する意識
ゆっくりと開いた瞳
写り込んだ部屋の見慣れた天井に

不意に涙が零れた

どうして涙が零れたのか
訳がわからず混乱して
理由をさがす

そういえば
長い長い夢を見ていた気もするが
何一つ思い出せない

思い出せない喪失感に
また一つ涙が零れた


何か
大切な何かを
俺は忘れている

布団から抜け出し
冷えた床に足を降ろし
そっとカーテンに手をかける

開けた視界は
美しい青



心は全てを失った子供のように
只呆然と青い空を眺める



自分が今まで生きてきた世は



もっと鮮烈で
もっと激情的な色ではなかったか

もっと残虐的で
けれど優しく暖かくはなかったか…



不意に蘇る声


――は泣かない


鮮烈で激情的で残虐的な世界で

同じ色を纏うのに
優しく暖かな
誰かが
そう言っていた…














世界は


そう



赤かった




END?
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