リクエスト小説

□あたしとあなたとねこ
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チリン、チリンチリン

にゃ・・にゃあ

外から聞こえてくる鈴の音と微かな鳴き声でその日は目覚めた。

「・・ぅうん・・・な、なんだ?」

ばさっ

テントの入口を勢いよく開けるとまず朝の冷気がギロロを襲う。

「さ、寒い・・・・はぁ〜」

すりすり

手に息を吐いて擦る。息は白く少し残った。

「ん?・・・おい、お前か?ねこ・・」

テントから少し離れた所にねこがちょこんと座っていた。ギロロがねこを見つけた瞬間は。

どさっ

「!?・・どうした!?」

にゃあ・・・けほっけほ

慌ててねこに駆け寄るギロロ。

ぴとっ

「・・あ、熱い・・お前、熱があるじゃないか・・・」

倒れ込んで弱っているねこをギロロは抱き上げてテントの中へ連れていった。

・・・・・・・・・・

テントにあるだけの毛布を全てねこにかけてやる。

「・・寒くないか?」

んなぁ・・・

鳴き声にあまり力がない。

「・・・こういうときは・・・頭を冷やさないとな」

(かといってここには氷がないな・・・・仕方ない・・夏美に頼むか)

ギロロはねこの頭を撫でてやる。熱が手を通して伝わる。

「ちょっと待ってろ・・今氷を取ってきてやるからな」

・・にゃ・・

手に擦りついてくるねこ、今はギロロの手でさえ冷たく感じるのだろう。

「ほら・・離れてくれ」

なんとかねこを手から離し、テントを後にする。

・・・・・・・・・・

「夏美〜・・・・?」

(・・いないな・・)

リビングを覗き込んで声をかけるが夏美の姿も気配もなかった。

(部屋にいるのか?)

とりあえず階段を上がり、夏美の部屋の前へ向かう。

「・・・ふぅ〜」

ドアを前にして深呼吸を一つ。

(・・この瞬間がいつも緊張するな)

こんこんっ

「誰?・・・ギロロ?」

「あ・・あぁ、俺だ」

カチャ

「中へどうぞ」

ドアを開けて夏美が中へ招いてくれるが、ギロロはそこに留まった。
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