リクエスト小説

□キズを嫌がる理由
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カチャ

「やっと・・・開放された・・・」

地下からふらふらっと出てくるギロロ。現在、朝の5時。日向家の人々はまだ寝静まっている。

「・・・あぁ、もう・・ダメだ・・」

ばたん

玄関の足拭きマットの上に倒れ込み、そのまま眠り込んでしまう。

「すぅ〜・・・すぅ〜」

・・・・・・・・・・

ジリリリリ

「んっ・・・ん〜」

カチッ

・・リリン

今日は学校がお休みだったが、夏美は目覚ましをつけっぱなしにしてしまっていた。

「ふぁ〜・・・まだ6時・・も少し寝ようかな・・・」

立ち上がってカレンダーを見る。

(・・今日は・・・冬樹がご飯当番だし・・)

「・・・寝る前に・・お水を少し飲もうかな」

部屋を出て階段を降りていく夏美、頭はまだあまり冴えていなかった。

「ん〜?・・あれは?」

足拭きマットの上に寝ているギロロを発見する。

「・・・ギロロ?」

「すぅ〜・・すぅ〜」

「・・大変・・こんなところで寝たら風邪ひいちゃう」

夏美は水を飲みにきたのも忘れてギロロを抱きかかえ自分の部屋に帰る。

バタン

「ちゃんと布団で寝ないとダメだよ・・・ギロロ?」

そのまま一緒に布団の中へ。そして夏美は眠りに落ちる。

・・・・・・・・・・

「うぅん・・・ぅん」

すりすり

(・・なんだろ・・・気持ちいい・・)

抱きしめているなにかにほっぺたをすりすりすると気持ちいい感触が伝わってくる。

ぱちっ

目を開ける夏美、隣にはギロロが眠っていた。

「?・・・あれっ?ギロロ?」

その時、夏美は二度寝する前のことをぼんやりと思い出す。

(・・そうだ・・玄関でギロロが寝てて・・・風邪ひかないように連れてきちゃったんだ・・)

すりすり

「それにしても・・気持ちいい〜」

ギロロは全く起きる様子がない。とても深い眠りについているのだろう。

ちゅっ

ギロロのほっぺたにキスをする。

(全然起きないなぁ〜・・・ふふっ、どこまでやったら起きるかな?)

夏美はにやっといたずらな笑みを浮かべる。

ふにっ・・ふに

ギロロのほっぺたをつっつく。

「・・・・ぅう・・ん」

びくっ

少し声をあげていたが、ギロロはまだまだ起きそうではない。

(・・びっくりした・・・でもまだ大丈夫そう・・かな?)

少し様子をうかがう夏美。

つ〜っ

腕やお腹を指でなぞる。

「・・うぅ・・・ん」

くちびるをなぞる。するとギロロがくちびるをむにゃむにゃさせる。

ドキドキ

(ま、まだ・・大丈夫そう・・・かな?)

夏美の指がギロロの目のキズをなぞったその時。

「!?・・・さ、触るな!」

「ひゃっ」

指を手で払いのけ、目を開くギロロ。夏美と目が合う。

「な、なな・・夏美!?」

辺りをキョロキョロ見回し、今自分の置かれている状況を把握しようとする。

「・・こ、ここは?・・・なんでこんなところに?」

「ここはあたしの部屋・・ギロロ、玄関で寝てたから・・・風邪ひかないように連れてきちゃったの


「そ、そうか・・すまない・・邪魔したな・・・!?」

布団から出ていこうとしたギロロの腕を引く夏美。

「・・ちょっと待って・・ギロロ」

「な、なんだ?」

「・・・ううん、なんでもない」

手を離す夏美。ギロロは部屋を後にする。
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