ギロ夏小説(ノーマル)

□Thinking Times
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(ほんとにあれでよかったんだろうか?・・・俺の頭ではその問いが、朝からつきまとっている)

テントの中でごちゃごちゃに積まれた荷物に寄り掛かりながら考える。

「・・・こんなときは、武器の手入れでもして気を紛らわせたいんだがな・・・」

そういえばずっと置いてあるマスコットを手に取ってみる。

ほんの数十分前・・・。

カチャカチャ

テントの外で武器の手入れをしていたギロロ。

「う、うわっ!」

武器に包帯がひっかかって絡まり、その後もがいたため収拾のつかないことになってしまった。

「ギロロ〜?そろそろ包帯を・・・・」

そこに包帯を取り替えるために夏美が来る。

・・・・・・・・・・

「治るまで武器いじりは禁止だからね!」

と道具を持って行ってしまったのだ。

(・・・そういえば、あまり変わりないようだったな・・答えはまだ出ないということか・・・その答え、出たらどうなるんだろう)

「だぁ〜っ!もう寝よう」

がんっ

荷物に怪我してる腕を思い切りぶつけた。

「〜〜〜〜っ!」

・・・・・・・・・・

普通にふるまって部屋に戻る夏美、ぱたんとドアを閉めると軽いため息をはく。

「はぁ」

とくん、とくん

(あの後から・・・ギロロと話したり、ギロロのこと考えるだけで・・胸の奥があつくなる気がする)

ベットにもたれ掛かって床に座る。

「ギロロのことがすき・・・なのかな?でも・・・」

(あたしは睦実さんのことが好きだったはず・・・それに・・ギロロは・・宇宙人だよ?)

ばふっ

手近にあったクッションに頭をうずめる。

(わからない・・・・)

ボーン、ボーン

「あっ、トイレ掃除しなくちゃ・・・」

・・・・・・・・・・

トイレ掃除を終えた夏美、リビングに向かう。

カチャ、カチャ

皿洗いをするモアが目に入った。

「モアちゃん、またボケガエルの当番変わってあげたの?」

「あっ、夏美さん。ボケガエルはやめてください、おじ様はボケじゃないです!」

「ご、ごめんね・・・」

「どうしたんですか?」

「ちょっとね・・・・あっ、モアちゃん!」

「えっ?な、なんですか?」

「モアちゃんはボ、ケロロのことが・・・す、好き、なんでしょ?」

「えっ!?・・・は、はい」

小さな声でうなずきながら答える。少し顔が赤い。

「あ、あのさ・・・体の形も違うのに・・・ど、どうして?」

「ひ、人を好きになるのって・・・見た目とか・・そんなことは・・関係ないんだと思います」

(恥ずかしそうにしてるけど・・・はっきりとした声で答えてた)

「私は・・おじ様のこと全部が好きです、っていうか心境告白?」

「あ、ありがと・・・もう一つ聞いてもいい?」

「はいっ!」

「ど、どんな時に好きなんだって思った?」

「え〜、お、おじ様のことを考えるだけで・・・胸があつ〜くなったときです」

「そっかぁ・・・ありがと」

・・・・・・・・・・

「胸があつ〜く・・・かぁ・・」

(確かにギロロのこと考えると・・・胸の奥があつくなる気がする・・)

「いつだってギロロはあたしを守ってくれてた・・・」

(近すぎたからわからなかったのかな・・・この気持ち、ほんとは好きだってこと・・・)

「あたしは・・・ギロロのことが・・・・好きなんだ」

(睦実さんへの気持ちは・・・単なる憧れ・・自分には出来ないことを簡単にやってしまうことへの・・・)

自分の気持ちに気付いた夏美、この気持ちをどうやって伝えるか・・・今度はそこを悩み始めた。
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