ギロ夏小説(ノーマル)
□大きな水溜り
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ブーン、プップー
トンネルを走るバス、その窓際の席に座るギロロ。もちろんアンチバリアは作動中だ。
(海、一体どんなものなのだ?)
前後の席には冬樹や桃華、ケロロ、タママそしてモアがそれぞれ座っていた。
「うっみ〜は〜広い〜な、ケロケ〜ロリ〜」
大はしゃぎの面々をよそにギロロの隣に座る人は、暗い感じが漂う。
「はぁ〜、なんでこんなことに・・・」
遡ること一日。
「海に行きたいであります!ママ殿!」
久々に帰っていた秋ママに直訴するケロロ。
「海かぁ、行こうよ。ねぇ、ママいいでしょ?」
珍しくケロロの意見に賛同する夏美。
「ダ〜メ、わたしはお仕事でいけないし。子供と宇宙人だけで海に行くなんてアブナイもの、今度にしましょう」
(ゲロッ!あ、明日・・・明日じゃなけば意味がないであります・・)
「そっかぁ、しょうがないかぁ〜。お仕事だもんね」
「マ、ママ殿・・・お、大人がいれば、文句はないでありますか?」
「そ、そりゃあまぁ・・・そうね、安心だわ」
「ケロケロリ、クルル曹長!」
「あいよ」
どこからともなく現れたクルルの手には、人生が二度あれば銃が握られていた。
「ポチッとぉ」
発射されたビームは夏美に命中!
「いやぁ〜!」
激しい閃光とバリバリという音、外でお気に入りのビームガンを磨いていたギロロは夏美の悲鳴を聞きつけリビングへと飛び込む。
「夏美ぃ!どうした!大丈・・夫か・・・?」
という訳である。クルルの持っていた銃は人生が二度あれば銃の改良版、大人の階段のぼる銃であった。つまり、夏美はその銃によって大人となっていたのだ。
「な、夏美?」
明らかに暗くなっている夏美に声をかけるギロロ。
「き、気分でも悪いのか?」
「う、ううん。大丈夫」
ギロロはちらっと夏美を見る。
(くっ、ダメだ・・・まともに見たら・・)
長いトンネルを抜けるとそこはゆ・・じゃなかった、潮風漂う海。